耽美試行

はなこよみ(5)

 31〜35 2014.10.5〜2014.10.14

    

-31-

絵師田能村明人のアトリエは、嵯峨の二尊院からもう少し山手のほうへいったところにあります。和風の構えで門があり、玄関があり、生活の空間があってその奥、山に面したアトリエです。田能村は日本画手法で絵を描くから、というのも正解ではありませんが、アトリエは和風です。床はフローリング木材ですが八畳の間を四つ、田の形になった32畳です。
「来てくれたんだね」
来訪のチャイムが鳴り、インターホンで確認したあと、玄関へモデルに頼んだ梶原真衣を迎えに出た田能村は、さっそくアトリエの方へと導きます。
「ひろいおうちですね、ひとりでお住まいですか」
「そうだよ、ここはアトリエとして使っているんだ」
「北山のマンションにお住まいですよね、先生」
「家族はそうだ、ぼくの仕事場はここだ」
まだ大学生の梶原真衣、眩い光彩を放つ瓜実顔の美女です。淡い流行りのスカートとブラウスを纏った真衣に、田能村は恋しているんです。嵯峨のアトリエは、田能村の祖父から父が仕事場として使っていた屋敷なのです。家系が絵師の筋で、京都派の流れをくむ描き方で、祖父や父は活躍したといいます。
「わぁあ、田能村先生、素敵なアトリエ!」
美術雑誌に掲載されていた田能村の、アトリエの写真を見ていたから、真衣には初めての訪問ですが、アトリエの光景は知っている感じ。庭とアトリエの間には廊下があり、庭側は木枠にガラスの引き違い戸、アトリエ側は襖です。四間四方の和風のアトリエ、真ん中に角柱、頭上には十字の梁が通っていて、広い部屋を支えている設計です。描きかけの絵が壁際にたてかけられ、主には日本画仕立ての美人画ですが、妖怪なイメージの絵です。大学生の梶原真衣をモデルに、縛り絵を描きたいというのが田能村の思惑で、その欲望に応じてきたのが真衣でもあったのです。

田能村明人は別名で淫斎という号をもっていて、多良書房で扱うオリジナル絵や印刷物にした画集などは、この淫斎の作ということにしているんです。
「着替えるんですよね、淫斎先生」
「そうだよ、この着物に着替えるんだ」
用意されているのは赤い襦袢と紫調の着物、帯はありません。淫斎は、鉛筆でのスケッチをしますが、カメラも使います。真衣が着てきた洋服を脱ぐところから、裸になって、和服に着替えるところまで、カメラで撮っていきます。
「恥ずかしいなぁ、淫斎先生、ここで、ですかぁ」
「そうだ、真衣、ここで脱いでいくんだ」
「ああん、見られてるって思うと、緊張しちゃうなぁ」
「なに、写真にするんだから、オリジナルの写真集にするんだから」
「それなら、きれいに撮ってね、おねがいですよ」
ブラウスを脱ぐところから、写真に撮られていく真衣。カメラに目線を向けて、にんまり顔で、収まっていきます。うっとり憂えた感じの美女。瓜実顔でどちらかといえば野暮ったい感じもする真衣。スカートがはずされ、インナーだけの姿になってしまった真衣。
「ああん、お写真、ブラも取って、撮るの、ですかぁ」
「そうだ、ほら、ここに立って、柱に凭れて、いいねぇ」
真衣は胸を覆っている生成りのブラをはずして、ショーツは着けたままですが、庭を背にして廊下とアトリエの間の角柱に佇みます。
「ええっ、ショーツも脱いじゃうんですかぁ」
「そうだよ、脱いでいくところを、撮っていくから、ね」
庭を背景にすると真衣の裸体が暗くなるから、ライトをあて、光の量を整え、真衣の裸体と庭の風景が納まるように工夫されます。

-32-

全裸になった真衣、アトリエと廊下の間の敷居をまたぐ位置で、庭を背中にします。全裸だから、立っているだけで、真衣のプロポーションそのものの美しさ、均整のとれたからだ、顔といい胸といい尻といい、太腿だって腕だって、まろやかでぽちゃぽちゃ、色白、透き通るような肌、持って生まれた身体だとはいえ、こういう身体を美しいというのでしょう。
「手を柱に這わせてあげて!」
カメラを向けられている真衣が、田能村が言うままに、動作を決めていきます。ちょろちょろ生える陰毛が、白い肌に不似合だけど、田能村は、その毛をみると情欲が、湧いてきます。
「後ろむいて、顔はこっちだ!」
「はぁああ、お庭にからだ向けるんですか」
「そうだ」
「誰か、見るかも知れへん、ですよ」
全裸で庭の方へからだを向けることに、抵抗を感じる真衣です。
「見られないよ、ここは、わたしの敷地だ、むこうは竹藪だ」
大学三年生の真衣はまだ二十歳を過ぎて一年も経っていない若さです。ラブホテルで田能村と過ごしたあの夜以来ですが、あのときはラブホテルという閉じられた部屋でした。でも、田能村のアトリエは、開かれているといえば開かれた空間で、ましてやまだ昼間、明るい光が庭から入ってきているのです。
「じゃあ、襦袢と着物を、着てごらん」
田能村に背中をむけて、真衣が床におかれた赤い襦袢を羽織ります。そのうえに紫基調の花柄着物を身につけます。帯はありません。着流しです。

アトリエに電気を灯して明るくします。庭から奥まった壁際へ、真衣は移動させられます。
「ええっ、これを、またぐんですか、いやぁだぁあ」
「そうだ、この木馬をまたいで、手を縛る、手は背中だ」
「わたし、縛られて、これ、またぐんですか」
「そうだ、たっぷり、感じるがいい、真衣、うれしいんだろ」
木馬といってもその背中は、楕円形にくりぬかれていて、まるでおまるをまたぐ感じです。木馬には持ち手が付けられ、それは回転木馬のあれを想像して作られたものだと思われます。
「いやぁああん、淫斎先生、こんなの、いやぁああん」
木馬の背中のくりぬきに、ペニスの形をした柔らか棒が、留められて立っているのです。このペニス形の柔らか棒を、またぐと、女のなかへ、埋め込むことになるのです。
「さあ、さあ、早く手を、後ろに、まわしなさい」
絵師田能村明人は縄を手にしていて、赤い襦袢と紫の着物を着流させた真衣の背中で、手首を縛ってしまうのです。
「ああん、淫斎先生、そんなにきつく括ったら、はずされないよぉ」
「はずせないように、こうして、括っておくから、いいね」
木馬の横に立ったまま、梶原真衣、後ろにまわした手首をあわせて括られてしまったのです。

-33-

全裸になった真衣が赤い襦袢と紫色調の絹の着物を羽織って、帯を締めないままに手首を後ろにまわして括られています。嵯峨の二尊院に近い山ぎわにある絵師田能村明人のアトリエです。32畳敷きのアトリエの庭からは奥のコーナーに、21才の真衣が立たされているところです。
「木馬を、またいで、すわるんだよ、真衣」
後ろ手に括られた真衣の横には、背中にはゴム製の模造ペニスが突起した、子供でも跨げる木馬が置かれてあるんです。この木馬、闇では淫斎の号を持つ田能村が丹念に手作りした木の彫刻です。高さは、三輪車を少し高めたほどなのです。
「ええっ、またぐんですか、それで、すわるんですか?!」
「そうだ、またいで、そうだ、和式のトイレ、その要領だ!」
「はぁああ、こうして、すわる・・・・」
真衣がまとっている着物と襦袢のすそを、背中へとまくり上げる田能村淫斎、うしろから、真衣のお尻が降ろされていくのを、立った高さから見ています。そうして真衣が背中に座る直前で、中腰にさせたまま、前にまわって片膝着いて立たれた田能村淫斎です。
「入れられるように、ふふっ、真衣、いいかね」
「ああん、淫斎先生、降ろして、いいですかぁ」
真衣の股間の唇の間を割ってやる田能村淫斎です。真衣は、もう了解、なにが起こるのか、恥ずかし怖い気持ちになっているけど、逃れることはできません。
「ああん、ああっ、せんせ、ああっ」
木馬の背中の突起物の頭を、真衣の陰唇の合間へ頭の先を当ててやり、お尻から腰を、降ろさせます。木馬の背中のゴム製ペニスが、真衣のヴァギナへ埋め込まれてしまうのです。

「ほうら、真衣、お尻、着けたね、そうだ、前のめりのままでいいよ」
「ああん、淫斎先生、うち、前に倒れそう・・・・」
「きぶんは、どうだ、真衣」
「きぶんなんて、わかりません、ああ、むずい・・・・」
木馬をまたいだ真衣の足、お膝を床に着かせると、模造ペニスが根元までヴァギナに咥えこんでしまうのです。前のめりになる真衣の、着せた襦袢と正絹の着物の裾をめくりあげ、まとめて括ってしまう淫斎先生。手首を括った紐と着物の裾を括った紐をひとつにまとめて、天井から降ろした滑車に通してしまわれたのです。
「どうだね、真衣、淫斎の名場面、写真に撮って、それをもとに絵、錦絵風だなぁ」
天井からの照明で、32畳敷きのアトリエの奥ですが、木馬と真衣の周辺は明るく照らされ、写真撮影ができる明るさです。
「はぁああ、ああん、うち、どうしたらええの、ああん」
木馬をまたいで、膝を床に着いて、ヴァギナには模造ペニスを咥えた真衣です。手首を背中で括られ、下半身は露出させたまま、からだの重心をとるのに、難儀してしまいます。というのも、おからだを起こせばヴァギナに埋まった模造ペニスがたわんで抜けそうになって、奥でこすれる感じがして、それを避けようとおもうと前のめり。前にのめるとそのまま倒れ込んでしまいそうになってしまうんです。どうしても気になるヴァギナをかばう余りに、バランスを崩してしまいそうになるのです。田能村淫斎は、真衣をまたがせた木馬の横に座りこみ、真衣からすれば斜め前に座られて、お弄りされていく羽目に、なってしまうのです。

-34-

木馬の背中にまたがっている真衣。ヴァギナにはきっちりゴム製の模造ペニスを埋め込んだまま、目線で言えば真衣の左前に淫斎先生があぐら座りでいらっしゃるんです。
「ふふん、真衣、ええ格好だよ、美しいねぇ」
素っ裸になったうえで赤い襦袢と正絹紫色調の着物を羽織った真衣ですが、その着物は背中でまとめて括られ、手首を括った紐と一緒に鴨居からの滑車に通されているのです。
「いやぁあん、淫斎先生、さわっちゃ、こそばい」
「こそばいかね、それは、真衣の性感帯、だからかな」
「ああん、だめです、こそばい、こそばい、淫斎先生」
床に膝をついたままでも、お尻をあげれば、模造ペニスは半分以上抜けてしまいますが、全部を抜き去ることは出来ない真衣です。その真衣が、お腰をまさぐられ、お尻を弄られ、陰毛をたくしあげられたりすると、腰を浮かし、お尻を揺すり、必然的にヴァギナの模造ペニスがうごめく感じで、大学三年生の真衣、膣襞をこすってしまうのです。
「ほうら、真衣、もっと、うごけ、もっと動けば、いい気持でしょ!」
「ああん、いやぁああん」
「たぶん、濡れて、じゅるじゅるに、なってるんじゃない、真衣!」
「はぁああ、そんなぁ、ああん」
腰を浮かせたすきに、真衣の陰毛下の前から、仰向けた手の平、お指を一本挿しこむ淫斎先生です。
「おおっ、濡れてるじゃないか、真衣、べっちょりだよ!」
淫斎先生は左手指で真衣の股間まさぐられます。模造ペニスのまわりから、ひろげられた淫唇をまさぐられる真衣。右手の指では真衣、乳房をゆすられ、乳首をつままれ、揉みほぐされていきます。
「はぁああ、はぁあん、ひゃああん、だめ、だめ、淫斎先生ぇ」
真衣のおからだ、性感帯の最たる箇所が、どうじに刺激されていくから、大学三年生の真衣、淫斎先生のアトリエで、呻きお悶えしているんです。

木馬をまたいで、喜悦にお顔を軋ませている光景を、お写真に撮られていく真衣。おっぱいが露出です。またいだ木馬とお股のあいだにすきまができて、模造ペニスが少し露出したところで、シャッターが切られていく真衣の羞恥姿です。
「ああん、あああん、こんなかっこう、あああん、写しちゃ、恥ぃ、ですぅ」
「ほら、尻を、もちょっとあげろ、そうだ、それくらい」
「ああん、淫斎先生、ああっ、ああっ、ああん」
「そのまま、お尻を、一気に、降ろせ!」
「はぁああ、ああっ、あああん!」
一気にお尻を、お股を降ろさせぶっすりと、模造ペニスを挿しこんでしまった真衣の口からは、喜悦の溜息が洩れてきます。洗濯物を干すときに使うハサミ、そのクリップにはストラップで小さな鈴がつけられているハサミ。淫斎先生は意地悪です。感じだした真衣の乳首を、そのハサミで挟んでしまわれるのです。
「いいかね、真衣、鈴の音、ほら、カワイイだろ、ほら」
ちりんちりんと鈴の音を、醸しださせながら真衣の乳首を挟んでしまうハサミ。痛い、ピリピリと強い刺激に見舞われてしまう真衣。
「ああっ、いたっ、痛いっ」
乳首を挟まれたその痛さに、お顔をゆがませてしまう真衣。左の乳首につけられ、右の乳首につけられて、淫斎先生に揺すられてしまいます。
「いい音だ、真衣、どうだね、いい音でしょ!」
「はぁああ、いたい、痺れて、きていますぅ」
指で乳首を挟んだハサミを揺すられると、ちりんちりんと音が醸されますが、真衣にしてみれば、音よりも挟まれて乳房を揺すられる痛さのような痺れのような感覚に、ヴァギナに埋めた模造ペニスがいっそうの快感身震いを誘発してくるんです。

-35-

淫斎先生がスケッチブックをお持ちになられて、濃い鉛筆で素早く真衣のすがたをデッサンされます。木馬にまたがり、双方の乳首はハサミに挟まれ、垂らした糸には小さな鈴がつけられています。またがった木馬の背中につけられた、模造ペニスをヴァギナに挿入したまま、だからむずむずしてくる大学三年生の真衣です。
「いいねぇ、真衣、からだゆすって、ちりんちりんと、ならせよ」
床の座布団にお座りの淫斎先生は、真衣の淫乱で情欲そそる不埒な姿をスケッチしながら、にんまり、腰のものを勃起させながら、このあとのことを思い浮かべていらっしゃるのです。
「ああん、淫斎先生、わたし、もう、ああん」
「どうした、真衣、いま、スケッチしてるから、このままだ」
「だって、もう、ああん、うずうずよ、おまたが、ああん」
チリンチリン、真衣が上半身を揺するたびに、乳首から垂れた糸の先の小さな鈴が、かよわい可憐な音を醸すのです。木馬をまたいだ腰を、お尻ごとひきあげてしまう真衣。木馬の背中の模造ペニスが現われ出ます。淫斎先生の目の前、目の高さ、スケッチをしていく淫斎先生です。
「ううっ、おお、素晴らしい、真衣のお汁が、垂れてる、ううっ!」
「ああん、あああん、淫斎先生、あああっ!」
「お尻を、おろせ、ゆっくり、おろせ!」
「はぁああ、ゆっくり、こんなの、ああ、ああっ!」
半分以上抜いてしまった模造ペニスを、お尻をゆっくりと降ろしながら、ぶすぶす、挿しこんでしまう真衣です。
「お尻をあげて、そうだ、そのまま、じっとしてろ!」
「はぁあ、ああん、じっと、ですかぁ」
「そうだ、おろせとゆうまで、じっとしてろ!」
淫斎先生こと絵師田能村明人は、多良書房でアルバイトしている大学三回生の梶原真衣を、淫らなすがたにさせながら、絵のためのスケッチと、写真&映像を撮っておられるのです。

淫斎先生こと田能村明人のアトリエは、嵯峨の二尊院からもう少し山手のほうへいったところにあります。大学の後輩でもある梶原真衣に惚れこんだ淫斎先生、真衣をモデルに選び、多良書房を運営する大原由紀夫と結託して、このアトリエへと導いたのです。真衣は幾度か、この淫斎先生のアトリエへ、やって来たことがあります。そうしていま、真衣は、淫らななかで我慢ができなくて、ひとりで、お尻をもちあげ、お尻をおろし、腰をもちあげ、腰をおろして、模造ペニスをヴァギナから、抜いては挿しこみ、抜いては挿しこみです。
「はぁああ、はぁああ、淫斎先生ぇ、はぁああ!」
チリンチリン、チリンチリン、真衣がからだを揺すらすたびに、乳首に挟まれたハサミから垂れる糸先の小さな鈴が、音を立てます。八畳の間が田の形になった広さの和風アトリエ、庭には花木が明るい光にゆらいでいます。そうして木馬をまたいでいる真衣は、深い溜息にも似たお悶えのお声を洩らしているのです。
「真衣、ほうら、もう、いいよ」
ぐったりしてしまった真衣の手首を括った紐を解き、赤い襦袢と正絹紫色調の着物を羽織ったまま、木馬からおろされた真衣です。
「はぁあ、淫斎先生ぇ、わたし、もう、イッテしまいたい、まだ、もっと・・・・」
「そうだな、真衣、そうだよな、アクメまで、いってなかったからだね」
「はぁあ、淫斎先生、わたし、さみしい、かなしい、どうしてかしら・・・・」
着物を着けたまま、とはいえその下は裸の真衣です。床に伏せっても太腿が現われており、胸元もはだけている姿に、淫斎先生、情欲を感じてしまわれます。真衣を、抱きあげ、仮眠用の簡易ベッドへ運ぶ淫斎先生。仰向きに真衣を寝かせ、まつわりついた襦袢と正絹着物のまえを開いて、裸身になった真衣を、眺めます。真衣は、目を閉じ、眠るように素直な顔立ち、まるで観音さまのようなお顔立ち、淫斎先生はこころゆすぶられます。恋してる、真衣に恋してる、淫斎先生こと田能村は、ふつふつと湧いてくる感情に、情欲を交えていくのでした。










HOME

最新更新日 2014.12.13


HOME



文章・小説HOME


はなこよみ表紙


はなこよみ(1)-1-

はなこよみ(1)-2-


はなこよみ(2)-1-

はなこよみ(2)-2-

はなこよみ(3)1-

はなこよみ(3)-2-

はなこよみ(3)-3-

はなこよみ(4)-1-

はなこよみ(5)-1-

はなこよみ(6)-1-

はなこよみ(7)-1-

はなこよみ(8)-1-