耽美試行

はなこよみ(1)-2-

 6〜9 2014.8.10〜2014.8.13

    

-6-

多良書房の演舞場、今夜の出し物は、喜多川歌麿原作の「はなふぶき」、演じるは大衆演劇の掛井一座だといいます。
「浮世絵の春画を知っているでしょ、友子さん」
「はぁあ、知っていますけど、詳しくは・・・・」
「この一座、掛井太一は、それを演劇にして、見せてくれるんだよ」
友子は、いま、演舞場のボックス席に、田能村と座っていて、開演前のトークを聞いているんです。ボックス席は三方を壁で囲まれた半畳の広さ、友子と田能村が座ると、からだが密着してしまいそうな幅、うしろに仕舞われた椅子、前に倒されると椅子になる仕掛けです。
「そうだね、このボックスは、いわば、密室にもなって、ね」
「なんだか、へんな感じ、わたし、どないしたんやろ?」
恥部屋の床には畳が三枚、三畳の間がつくられ、枕もとには衝立がおかれ、正面から見ると、それは寝室がまねてあるんです。友子は、天井からのライトに照らされて明るい畳三枚の空間を、なんだか胸騒ぎを覚えながら、ようく見ると衝立の絵はまさに浮世絵、それも春画、ああ、着物姿の男子と女子が、絡んでいる図が艶めかしく見えています。

なんの前口上もなく、お殿様風、お姫様風、着物をまとった男女が、畳のうえに座ります。
「はぁああ、ああ、お殿さま・・・・」
「おはる、近う寄れ、こんやは、おはる、美しいのう」
とってつけたようなセリフに、笑ってしまいそうな友子、右には田能村が座っているんですが、前を向いて身動きしません。友子が入ったのボックスのほか、もうひとつのボックスには、背広姿の初老の男性と和服の女性です。チラッと先に見かけただけで、ボックスに入ってしまうと、もう、そのなかの様子は、見えません。
ひとり席は四つ、ボックス席の横に二つずつ、それはソファーだけ。
「お殿さま、ああっ、いけません、はぁああっ、まだ、まだでございますぅ」
舞台といえばいいのか、畳の上で、殿さまと姫さまに扮した男女が、抱きあい、まさぐりあいだしたのです。
「友子さん、見ていますか、大衆演劇の掛井一座、今夜は特別仕立ての演舞ショーからの抜粋」
「はぁああ、わたし、なんだか、うずうずしちゃって、はぁああ」
見ている、照明に明るくされた男女の衣裳から、足元が乱れて、姫さまの足、ふくらはぎが、見えだして、官能のシーンになってきています。

田能村の手が、友子の手を握ってきます。友子は、ドキドキ、どうしたものか、逃げるに逃げられない、呪縛にかかった感じで、握られた手は、そのまま握られたままで、引くことも出すこともしなくて、身を固くしてしまうのです。
「ふううう、ふううう」
友子が息するおとを洩らしだして、田能村はすかさず、友子の手をぎゅっと握りしめ、自分の方へ引き寄せます。田能村は左手、友子が握られているのは右の手です。田能村は、友子の右手を引き寄せ、両手で弄びはじめます。濁られて、指間に指を入れられた友子、なにかが起こる予兆を、まるで金縛りにあったように身動きできずに、頭のなかだけが妄想を呼びこみます。三メートルほど目の前の光景は、着物姿の男女がまさぐりあいながら、下半身が露出されてきて、眩いというより情欲をかきたてる気持ちにさせられていく男子に比して友子には、羞恥心がふつふつと起こってきて、手を握られ弄ばれる感触と重なり合って、奇妙な感覚に見舞われてくるのです。
「はぁあ、たのむらせんせ、はぁああっ」
田能村が、友子の手を、股間へと導いてきて、まだ穿いたままのズボンとトランクスのなかへ入れさせ、いさぎよく男のモノに触れさせられてしまったのです。

-7-

床に畳が三枚が敷かれた舞台、浮世絵春画の屏風のまえで、大衆演劇よろしく掛井一座の男女が、お殿とお姫に扮して、動く浮世絵のショーなのです。
「あらぁああ、おとのさまぁ、ああん」
「うむうむ、ひめよ、ひいひい、おこえをあげなさい」
「ひぃいい、ひぃいい、ひぃいいい」
お姫さまは腰から下が露出され、お股をひろげて、お尻をもちあげ、お殿さまも腰から下が露出され、腰から突き出た勃起ブツ、お姫のお股の真ん中へ、ぶすぶすっと挿しこまれ、密着のすがたで動きはゆるやか。
「はぁああ、はぁあああ、とのさま、とのさま、おとのさまぁ」
「いいなぁ、ひめ、きもちいいなぁ、ひめさまよぉ」
「きもち、いいです、はぁああ、ああっ」
「ほうれ、突いてやるぞ、ひめ、喘いで泣いてもいいんだよ」
「はぁああ、ああ、ああ、もっと、もっと、もっとですぅ」
「こうかい、これでいいのか、ほうら、突いて抜いて、突いて抜いて」
下半身丸出しで交情するお殿さまとお姫さまのすがたを、見てしまう友子はもう、自分のことがわからなくなります。

ボックス席に並んだ大学生の友子と絵師田能村、からだが密着、友子の右手が田能村の、股間へ導かれて男のモノ、勃起の棒を触らされ、握るようにと耳元で、囁かれて友子、いわれるままに握ってしまいます。
「はぁあ、せんせ、わたし、どないしょ、はぁああ・・・・」
友子の息づかいと心の呟きを、じっと注目して聞き入る田能村は、大学生の友子の驚きと戸惑いの気持ちが、手に取るようにもわかるんです。清楚な感じの友子は、フレアの紺色ロングスカート、うえはひらひらレースがついたブラウス姿、そのからだの奥の生身のからだ、ゆらゆらとゆらめいているのを想像しています。
「見えるでしょ、あそこのふたりが、いま、なにしてるか、見えるでしょ」
勃起ブツを握らせたまま、田能村は、友子の耳元へ、息を吹きかけるようにもして、畳舞台の男女の絡みを話題としているのです。友子は、もう自制心を失いかけて、なされるがまま、いわれるがままに反応してしまいます。
「はぁあああ、いやぁあ、あああっ」
「ほうら、お尻をあげて、いや、立ってごらんよ」
田能村の股間へ挿しこませている友子の右腕の、肘をかるく持ち上げ、小さな声で立つようにと促せます。

なされるままに、華奢な右手を田能村の、ズボンの割れ目から抜いて立ち上がる友子。立たせた友子を、舞台を背にさせ、腰を抱くようにして、引き寄せ、ロングスカートの裾から左右の手を入れ、そのまま友子の膝から太ももを、まさぐりあげて下穿きを脱がしにかかる絵師田能村。
「はぁああん、たのむらせんせ、なにするん、いやぁあん」
十六畳の長方形の演舞場、その半分では浮世絵仕立ての「はなふぶき」を演じる男と女。掛井一座のメンバーが、三味の音とともに交情交尾の場面を演じ、興味ある接合する性器が、客席から丸見えになるよう、体位が仕込まれ、挿入される男のモノが、挿入された女のモノとが一体で露出されています。友子には、いま、もう、この交情交尾の場面は見えていなくて、お姫さまが喘ぎになるお声と、荒げられていく息の音、カサカサ着物が擦れる音、雑音の様でもあり、友子には心を揺すられる音でもあるのです。
「ほうら、友子さん、したばき、とってしまおうね」
こころもち見上げられる高さになった友子のお顔を、お椅子に座ったままの田能村が見上げ、友子のショーツ、腰の部分から指をかけ、めくるようにしてお尻から脱がしてしまうのです。
「はぁああ、たのむらせんせ、どうするの、ああん」
ショーツが太もものつけ根のところまで降ろされたとき、田能村は、友子にロングスカートの裾を持たせて、たくし上げさせるのです。
「はぁああん、こんなの、恥ずかしいですぅ」
薄暗いボックス席に座った田能村の、目の前でスカートをめくりあげさせられた友子。スカートの前部分、腰から太もも、お膝から爪先が、田能村の前に露出させられてしまったのです。

-8-

友子には、まるで何が起こっているのか、狐につままれたような不思議な感覚で、身に降りかかっていることが他人事のように感じて、その場の成り行きに身をまかせてしまっているのです。狭いボックス、下穿きを太もものつけ根のところまで降ろされてしまって、ロングスカートを裾からたくし上げてしまって、田能村の目の前に腹部から足部分を晒しているのです。
「いいお尻だねぇ、腰だって、細いじゃない、ねぇ、友子さん」
「はぁあ、はぁああん、たのむらせんせ、なんですかぁ」
田能村がセクハラ的なことばを友子にかけてきて、演舞場の音に混じって、友子には聞き取れないほどですが、なにやら言われていることがわかって、友子は、つぎの動作に移されてしまいます。
「いいんだよね、友子さん、いい仲になって、いいんだね」
「はぁあ、ああん、どゆことなのかしら」
友子は、太もものつけ根まで降ろされている下穿きを、するすると丸められるようにされながら、膝よりも下へ降ろされ、脱がされてしまったのです。田能村は、友子の反応をみながら、なすがままにされていく友子へ、一気に情欲を満たしてしまおうと思うのです。ボックス席の座席、三等分の両脇を落としてしまって、真ん中30cmだけを座席にして、それから中腰になり、ズボンのベルトをはずし、ズボンをおろし、トランクスを脱いでしまって、下半身すっぽんにしてしまって、幅30cmの座席に座り、友子を誘導し、田能村の裸の太ももを、またがらせるのです。

演舞場、畳三枚のうえのショーは、浮世絵春画の実演です。掛井一座は座員五人で京都に本拠を置く大衆演劇一座です。多良書房の大原由紀夫の好みでもあり、パトロンでもある立場から、ここ多良書房の演舞場で、半ば秘密でショーが組み立てられているのです。二組の男女と、一人の女子が、相互扶助しながらの公演をおこなっているんです。
「はぁあああん、おとのさまぁ、ひぃいいい、ひぃいいいいっ」
お殿さま、お姫さま、男女の白黒ショーは、お姫さまのお悶え声がマイクに拾われて増幅させられ、スピーカーから流れ出ています。帯がほどかれ、女体のまえがはだけて、裸体が丸出しになっていて、そこへお殿さまがかぶさり、立てた膝を大きくひろげたお姫さまのヴァギナへ、お殿さまのペニスが、きっちと挿入されているのです。
「はぁああ、ひぃいいですぅ、お、と、の、さまぁ、ああっ」
「ほうら、ほうら、ひめ、ほうら、ほうら」
男と女が正常位、そのうちに騎上位になってお姫さま、背中をお殿さまにむけ、お顔と裸体の前は客席に、お向けになって、ヴァギナとペニスの結合部分が、観客には丸見え状態になされて、お姫さま、男心をくすぐるお悶えの、核心にお入りになられるのです。友子には、お声だけが聴こえていて、それも意識のそとがわ、交情の場面には背中を向けているから、見えません。しかし田能村には、演舞場の畳三枚のうえで行なわれているえろすショーを、見ながら友子をモノにしていくのです。おとなりのボックスは初老の男と和服の女、目の前のショーを観ながら、男と女を演じるのかどうかは、見えないから、わかりませんが、たぶん、着物の女が乱れて、初老の男をふるい立たせるのかも知れません。

田能村の合わせた太ももをまたいでしまった友子、足を床につけ、ロングスカートをもちあげたまま、お尻を田能村の太ももから、まだ持ち上げたまま、お尻を抱かれて、撫ぜられて、友子、田能村の個展画廊から、多良書房での食事から、演舞場での軽い縛りの雰囲気に、疲れたとはいえまだまだ二十歳を過ぎたばかりの若さ、体内のうずうず感が昂じてきていて、なされるがまま、お顔は上気してほんのり紅潮、しっとりと汗が滲む友子です。
「ああっ、ああっ、いけないわ、たのむらせんせ、ああっ・・・・」
友子が、演舞場の音にかき消されながらも、お口から洩らすことばと喘ぎは、田能村の耳に聞こえているのです。友子のお尻を降ろさせて、自分のペニスを友子の股間のヴァギナへ挿入させていく瞬間なのです。友子は、夕方からいままでの時間で、高揚し、秘密の処には蜜が滲んで、溜まっているところですから、案外、難なく、田能村のペニスを咥えこんでしまったのです。
「はぁああ、すぅううう、はぁああ、すぅううう、ふううう・・・・」
きっちり、田能村のモノを挿しこまれてしまった友子は、観念した子羊よろしく、向きあった田能村からのキッスを受け入れ、ブラウスのボタンをはずされて、インナーをたくしあげられ、乳房をまさぐられてしまいます。
「ああああっ、はぁああっ、はぁああ・・・・」
微妙に田能村が腰を揺するので、そのたびに友子、挿入された男のモノがうごめいてきて、むず痒い、ヌルヌルの、得体のしれない感覚に見舞われだしてしまいます。田能村は、友子を抱いてキッスをほどこし、胸をまさぐり、ペニスはあえて抜き挿しなどしないで、じっと挿しこんだままにしておきます。なによりも田能村には、友子が処女ではなかったことに、落胆と同時に安心を得るのです。

-9-

絵師田能村明人の、裸のままの腰をまたいでいる友子。またいだ田能村の腰から突きあがったモノを、自分のヴァギナに挿したまま、ぐぐっと背伸びし、お顔を仰向かせ、ため息のようなお声を洩らしてしまうのです。もう大人、二十歳を過ぎている大学は文学部の三回生、からだの成熟からいえば、最も適齢期といわれる友子のからだ、友子自身、ひとりでいるときには、みずみずしい乳房のふくらみと、お股からしたたりでるとろみのお水を、若さのたまものだと思って、撫ぜさすり、指ですくいあげたりするのです。
「友子さん、どうだね、ぼくのモノ、わかるだろ」
田能村に抱き寄せられ、耳元で囁かれてしまう友子。スカートをかぶせたままで、田能村の腰をまたいでいるから、そのこと、つまり挿入していることが気になって、耳元で囁かれてもまるでうわごとのように思えてしまう友子です。
「はぁあ、たのむらせんせ、あああっ」
「いいねぇ、友子さん、いいんでしょ、いいんだね」
「はぁあ、ああっ、どないしょ、うち、ああ、ああっ」
「いいんだね、感じてるんだね、いいねぇ」
ぶっすり、田能村の勃起ブツを挿入したまま、微妙に股間を田能村になすりつけ、お腰をくねらすようにうごかす友子。田能村には、その友子のうごきが伝わってきて、その感触がなによりも、ふくよかな情のうねりを体感します。右の手をブラウスのなかへいれ、乳房をゆすり、乳首をつまんで、揉んでやる。揉まれる友子は、股間のぬるぬる感覚に加えて、乳首のぴりぴり感覚を重ねられ、からだの芯が、じんじんと痺れてきてしまう。

演舞場の騒音、畳三枚のうえの男女の交情、ためらいむせぶ風景を、自らに行為を受けながら、友子は見ていいます。見るとはいっても、深い意識がかさならない、網膜にうつる映像で、お殿さまとお姫さま、男と女が交合の、その裸のままの光景を、意識の表面をすべらせていくだけです。絵師田能村とは初対面、それから数時間しか経っていないのに、友子、名前を知っていたことで、ずっと以前からの知り合いで、いま、ようやく、深い関係にまで密着したのだと、無意識のうちに受け入れているのです。
「うううっ、ああっ、はぁああっ、たのむらせんせ、はぁああっ」
「ううっ、いいんだろ、ほうら、友子さん」
ヴァギナには、田能村の勃起ブツをぶっすりと、咥えたままです、友子。向きあった田能村の右腕が、背中にまわされ、左の乳首は指でつままれ、もみもみ揉まれ、右の乳首は田能村の唇にはさまれ、ぷちゅぷちゅと揉まれている友子です。
「ああっ、はぁああっ、はぁああ、はぁああ」
吐く息、吸う息、息使いが荒くなってくる友子。息の音とお声とが交じりあい、細くて高い吐息の音色に、田能村のこころが埋没していきます。友子の感触、女としての感触、これまでには何人かの女と交情をもった田能村ですが、友子は新鮮、フレッシュ、みずみずしい。柔らかいようで硬い、そのこりこり感は、友子が若い果実だから、かも知れません。

男と女の交情は、男の溜まりが排出されるまで続きます。田能村は、友子の下穿きだけを脱がしただけで、そのほかのものは身につけさせたまま、淫らさを覆い隠すようにしたままで、友子に満足をあたえていきます。咥えさせたままの腰をあげさせ、みずから、すきんをかぶせ、おわって、友子の股間の濡れ汁を、ティッシュボックスから何枚も引き抜き、まるめて拭きとったあと、そのまま勃起ブツをヴァギナへ、埋め込んでやります。
「さあ、友子、腰を、まえへ、うしろへ、動かして・・・・」
友子のヴァギナに勃起ブツ、挿入されて密着のまま、友子がまたいだ腰からお尻を、前へ、後ろへと、動かさせます。
「はぁああ、はぁああ、たのむらせんせ、はぁあああ」
ぐういっ、ぐういっ、友子の動作、腰からお尻を前へもってくるときに、力が込められるのがわかります。友子、田能村の勃起ブツを、みずからの動作で、ヴァギナの襞に擦りつけ、刺激を求めて、昇っていきます。
「おおおっ、いいねぇ、友子、ほら、もっと、もっと」
「はぁああ、もっと、もっと、あああっ」
演舞場からの大きなが音で、友子と田能村の喘ぐ音がかき消され、畳三畳のうえではお殿とお姫が帯を解き、抱きあい、交合したままで、果てていくクライマックス。友子のお声が、甲高く、クライマックスを迎えてきます。田能村のお腰をまたいだ大学生友子、密着させたまま、ぐういぐうい、ヴァギナのなかでこすりまくって、ずんずん、クライマックス、アクメ、オーガズムに昇っていったのです。













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最新更新日 2014.12.13


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