耽美試行

はなこよみ(3)-3-

 24〜26 2014.9.15〜2014.9.17

    

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(3)-3-
北山の安田マンションの三階B号室は写真や動画を撮影するスタジオです。写真家を目指している山内武雄の父がコマーシャル系の写真家で、住居兼スタジオとして使っていたけれど、一昨年の夏には仕事を若い山内が引き継ぐ格好で、所有者となったのです。油絵を手がけている村山修一、美術系の評論を手がけている三宅卓磨とともに、写真を撮っている山内は、そこそこに名が売れ出した新進ホープでもあるのです。多良書房での夜会が終わって、手塚直美を連れ、安田マンションに戻ってきた三人の男子の目的は、モデル撮影です。手塚直美は大学の三回生ですが、女子アナ志望でモデルもこなしたい、多良書房でバイトしながらマルチタレントを目指しているところです。多良書房は、シュール系、アダルト系の書籍や絵画や写真も扱っていて、山内が撮る、村山が描く、写真や絵画を、三宅がコメントをつけて、アーティストブックとして、少部数発行しているのです。手塚直美は、そのモデルです。
「じゃぁあ、直美、まだ酔っぱらっているけど、はじめちゃおうか」
十六畳の広さのスタジオは、ストロボセット、壁面にはロールのバック紙、そのまえにカメラの三脚がセットされているんです。
「浴衣だから、着替えなよ、直美」
写真撮影だから山内が出番で、手塚直美に指示します。
「ううん、いいよ、ちょっと、お直し、しちゃうから、ね」
ほんのりと酔った女子は、やわらかくて美しい、と見学の絵描村山修一が直美を見つめています。まだ二十代の後半、評論の三宅を含め男子三人、なまめかしい直美の浴衣姿を、囲みます。

「じゃあ、その椅子に座って、そうだね、胸、少し開いて」
「ああん、山ちゃんさん、こんなくらい、ですかぁ」
グレーのバック紙のまえに置かれている、籐で編まれた肘掛椅子に座った直美が、きっちり閉めた胸もとを、少し開きます。
「そうだね、もう少し、ほら、ふくらみがわかるあたりまで」
直美の胸のふくらみ、白い素肌が垣間見えるところまでひろげられて、最初のカットが撮られます。評論の三宅は動画撮影の役割になります。ストロボ撮影だから、そんなに明るくはないけれど、ビデオで動画を撮るときは、照明されて撮られます。
「ううん、だめよ、まだぁ、まだ、だめですよぉ」
山内が、浴衣のすそをひろげて膝を出すようにと言うのにたいして、直美はまだ心の準備が出来ていないというのです。
「今夜のうちに、一冊、仕上げるんだから、さぁあ」
すでに今夜といってももう日が変わっている時間です。最後のシーンまで撮影するには、四時間は欲しいから、撮影が終わるのは明け方になってしまう。ドリンク剤も用意してあるし、簡単な食事は出来るし、コンドームだって六個入りが三箱あるから、大丈夫です。

白地にピンクから赤の花柄浴衣を着て兵児帯を絞めている手塚直美は、それだけでタレント性十分、大学三回生の21才、文学部に学ぶ歴女です。
「ううん、おっぱい、だしちゃうのね、いいよ、だしちゃうぅ、ううっ」
男子三人に見られているなかで、直美は乳房を見せてしまいます。数時間後には、全裸で全開してしまう身体です。そんなことも想定済みで、この撮影に臨んでいる直美なのです。
「ううん、いいねぇ、直美ちゃん、素敵だよ、とってもぉ」
半裸になった直美のうしろに、絵描の山内修一が、男役を担います。例によって男の顔は、映し出されないから、首から下の部分だけが、写るんです。都合の悪いところには、修正してぼかしをいれますが、撮ったままは丸見えのままです。肘掛椅子に座った直美。うしろから山内が手を降ろしてきて、浴衣の胸元をひろげて、乳房を露出させてしまいます。
「はぁああん、村ちゃんさぁん、ああん、あああん」
「いいよぉ、直美、ええ声やぁ、すすり泣くムードが、めっちゃええわぁ」
「ああん、うち、あああん、感じちゃう、ううっ」
カメラの前で、演技する直美ですが、男の目には、どこまでが演技でどこまでが素なのか、太腿があらわれだし、閉じられていた膝がずらされ、太腿のつけ根までが見えてしまいそうになった直美。それにしても艶めかし気配が漂いだした直美の半裸浴衣姿なのです。

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手塚直美写真集は多良書房の独自企画で、限定版の撮り下ろし写真集です。大島由紀夫が主宰の多良書房。限定版写真集はアダルト作品、世界に向けるときには無修正版、国内販売においては修正版で、注文に応じて印刷製本されるアーティストブックの要素を持っています。撮影は若き写真家山内武雄、装丁は絵描の村山修一、作品解説を三宅卓磨が担います。発行者は大島由紀夫です。
「ほら、直美、こっち向いて、カメラ目線だよ、あんまり、にっこり、しなくてさぁ」
カシャ、カシャ、シャッター音の同時に、ボッ、ボッとストロボが音を立てて一瞬の閃光を放ちます。浴衣姿の直美、籐で編まれた肘掛椅子に座った直美、胸がはだけられて、右の乳輪から乳首がチラチラ、崩して乱れる膝から太腿の根元までが露出、黒い毛は見えないようにして、シャッターが切られます。
「じゃぁあ、立ってみろよ、そのままでいいさ、そのまま!」
山内武雄がポーズをつけます、肘掛椅子から立たせて、ストロボのアンブレラの角度を上向きに変えて、乱れだした大学生手塚直美の姿を、撮っていくのです。
「はぁああああ、山ちゃんさん、こんなのでいい?」
直美の右の胸が浴衣からこぼれだし、ぷっくらと盛り上がった乳房が艶めかしいです。

「そうだね、帯を解いて、浴衣、だらり、だね」
グレーのバック紙のまえに立った直美、肘掛椅子は外され、小さなテーブルが置かれています。山内の指示にしたがって、赤い兵児帯を解いてしまうと、浴衣のまえがだらりと落ちて、首から縦にまっすぐ、直美の肌が現われます。白い肌、もち肌っていうたぐいの直美、太腿には青い血管がうっすらと浮き出ていて、その白さがいっそう引き立ちます。
「片足、だしたら、いいのかしらぁ・・・・」
うしろには何もない無地、その前に直美の帯を解いた浴衣姿です。手持ちぶさたの直美は、解いた兵児帯を手にしてだらりと降ろさせたまま、山内の指示を求めます。
「そうだな、直美、右足、だせよ」
右足を出すということは、帯を締めていない浴衣のなかから右の太腿を根元まで露出すること、テーブルに足裏をのせて立っていると、お臍が露出し、股間のうえをつかさどる黒い毛が露出します。
「こんなくらい、こんなので、いいのかしらぁ」
「右足もっと開き気味で、そうそう、それくらい」
「ああん、内股が見えちゃうじゃん、恥ぃな」
「おおおっ、その顔、その表情、直美、いいよぉ!」
足を開く格好でやや下からのアングルで撮られるから、股間がわずかに写りこんでしまうんです。

「はぁああん、そんなに明るくしたらぁ、眩しいわぁ」
動画用のライトはストロボ閃光ではなくて、青白いランプが煌々と点きます。
「きれいだよ、直美、いつ見ても、うるわしいよ、直美」
「はぁああ、そうですかぁ、うれしいわ」
「ほら、そのまま、浴衣まくってしまって、尻を出しちゃえよ」
静止画も撮られるけれど、動画も同時に撮られていきます。
「四つん這いだよ、四つん這い!」
「はぁあああ、よつんばい、こんなのぉ」
「足、膝をひろげろ、直美、そうだ、それから、尻をあげろ」
「はぁああ、ああん」
「猫が背伸びするあの格好、バックから撮るからさぁ」
何も着けていないお尻から股間が、正面にされて、恥ずかしい箇所、見たくなる箇所が映されていきます。
「ほうら、そのまま、足をひらいて、尻あげて、顔を伏せる、そうそう」
動画で撮られるカメラが直美の臀部をなめだして、股間の部分でクローズアップ、カメラ位置によって、直美の胸から顔が、アップされた臀部の下部分にアウトフォーカスで映りこみます。ひとり舞台ってありますけれど、直美の独演場です。女子アナ志望でモデルもこなしたい文学部三回生の歴史好き女子、歴女の手塚直美です。

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浴衣のまえをはだけさせたまま、小さなテーブルにお尻を置く直美。正面から、静止画カメラと動画カメラの両方で、直美のオナニー姿を、撮っていくというのです。どちらかといえば小柄なぽっちゃりタイプ、大学は文学部の三年に在学中の歴女、直美です。
「いいね、じゃあ、股は、いつも、めいっぱい、開いておくんだぜ!」
カメラマンの山内武雄は、直美に恋してるからほんとうはひとりで専有したいところだけれど、これまでのいきさつから、村山や三宅と共有を余儀なくされています。
「照明、OK、直美、本気でやれよ」
「はぁああ、そやけどぉ、そんなに見ちゃ、いやだよぉ」
「見てられるほうが、乗っちゃうんじゃないの、直美としてはぁ」
「いやだぁ、そんなこと、ないわよぉ」
と言いながら、直美の表情は上気していて、とっても美しい、穢れのない天使、いや天女、それよりも観音さまのような素直な表情、男子たち、うっとり、胸キュンキュンとさせてしまうんです。
「ああっ、みちゃいや、ああっ」
テーブルにお尻を置いた直美のスタイルは、開脚のMすがたです。膝がひらかれ、太腿がひろげられると、股間が丸出しになります。誰もが見たくて見てはいけない処が、ひろげられると、場の雰囲気は一気に緊張感に満ちます。黒い毛、肌よりも沈んだ色彩のぷっくら唇、その唇はめくられていくとそこはピンクの色に変わります。誰もが見たくて見てはいけない直美の処が、ご開陳された。観音開きの扉がひらかれ、そこにお見えになられたのはおちつさまです。

直美、帯を解いた浴衣で、腰を隠すようにして座った膝をひろげて、そこへ右の手指がおろされてます。左の手は乳房のうえ、抱くようにしてお顔を上向かせます。
「はぁああん、みちゃいや、あああん、みたらぁ、あかん、んん・・・・」
カシャ、カシャ、カメラのシャッター音が、真夜中、静寂のスタジオに響きます。直美は、仰向き、乳房をまさぐりながら自己陶酔、薄く唇を開く感じで、うっとりとしたお顔つきです。
「はぁああ、ああっ、はぁああ、あああっ」
手の指が一本、中指が股間の唇の間に入れられます。先が入れられ、中ほどまで入れられ、残りの手指で股間が覆われます。
「はぁああっ、ううううっ、ふぅうううっ」
直美の手指で、直美の股間が覆われたまま、両の膝が、ぐぐっと拡げきられて前へ突きだされます。乳房を覆っていた左手が、テーブルに着かれて、腰からお尻が浮き上がらせます。はっきりと、中指が濡れた真ん中へ挿しこまれているのが、見えます。見えるということは、カメラにもそのまま記録されているということで、人の目からの光景は記憶の像ですが、カメラのレンズからの光景は記録の像です。
「いいねぇ、直美が、こんなに乗っちゃうなんて、想定外だよぉ」
「それにしても、直美、すごいねぇ、大胆だよなぁ」
「本気だぜ、直美、その気があるんだぜ、露出狂かもなぁ」
ひそひそ、その声が直美に伝わっているのか否かはわかりませんが、ますます大胆になっていく大学三先生の手塚直美なのです。

オナニーシーンが終わるころ、評論を手がける三宅卓磨が直美に結合を求めます。卓磨は素っ裸になって仰向きに寝そべりです。浴衣をぬいだ直美も素っ裸、ネックレスもピアスもありません、素っ裸そのものです。
「ああん、はぁあああん」
卓磨のお顔を背中にし、卓磨の腰にまたがる直美。
「いれちゃうよ、ああっ、はいっちゃうぅ、ううっ」
うしろから卓磨が誘導し、直美のヴァギナへペニスの頭を挿しいれてやります。直美のヴァギナに頭の部分が挿しこまれたところで、静止画カメラではカシャ、カシャ、カシャと連写され、動画カメラは直美の正面からの撮影です。
「はぁあああ、ひぃいいいいっ」
そのまま、直美が腰からお尻を降ろしてきて、卓磨のブツが直美のなかに咥えこまれてしまいます。卓磨の腰に密着させた股間を、直美は足をふんばり、お尻をあげて咥えたブツを抜いちぃいます。抜くとはいっても全部じゃなくて、部分を残したままです。直美、まるで見せびらかすように、カメラの前で、カメラマンの山内や絵描き村山の前で、ひろげて見せているんです。
「おお、すげえよぉ、直美ぃ、めっちゃ演技が、うまいねぇ!」
直美はもう本気です。ぐちゅぐちゅの怪物が体内を駆けめぐる、その感覚に酔っているんです。







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最新更新日 2014.12.13


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