耽美試行

はなものがたり(1)-6-

 31〜34 2015.5.3〜2015.5.29

    

-31-

(6)
村上真衣の陶房へ大野健一が訪ねてきたのは、もう新緑5月になったばかりの日。真衣の恋人、二才年下の大学院生大野健一が訪ねてきたのは突然のこと。たまたま真衣が陶房にいたからよかったものの、いなければ健一はどうするのか。
「連絡ないから、姉さん、どうしたのかと思って」
「ああ、ちょっと忙しかったから」
「そうなの、もう、だめかと、思ったりして」
ゴールデンウイークに入っているから、この前に会ってからひと月は過ぎています。真衣にとっての恋人、からだの関係をもってしまった恋人。その健一がゆくゆく東京の方へ就職したいといっていて、陶芸で関係ができてきた京都から、離れられないと考える真衣には、関係が色褪せてきているのも事実です。というより、島津幸一がパトロンとして目の前に現われ、求められるがままラブホテルへ行ってしまって、心の隅では健一に申し訳ないとは思いながらも、関係が断たれてもいいかな、と思っていた矢先でした。
「だめじゃないけど、個展の企画があったりして」
「そうなの、もう、だめなのかなぁ」
健一がやってきたのは、真衣が遠くへ行ってしまったような気がしているからです。別れ、そういうものがあっても、なんら不思議ではない関係ですから。
「ああん、だめよ、こんなとこで、だめだよ」
作業中の真衣はスラックスに前掛けすがた、髪の毛はポニーテールにした清潔な印象です。健一が求めるのは、男と女の関係です。好きあっていることとからだを交わすことがイコールでありたいと思う健一ですが、25才、新進陶芸家の肩書が与えられそうな真衣には、複雑な気持ちです。スイッチが切り替わるのは、しばらくしてから、中二階作りの陶芸工房、表の暖簾をしまって鍵をかけ、そうして二階の四畳半へと健一が導かれるのです。

畳の四畳半、中二階だから天井は立てば頭がすれるほどです。女の部屋、こぎれいにかたずけられていて、鏡台に掛けられた赤い柄の布地が艶めかしいといえば艶めかしい。
「いいのよ、健一、していいのよ」
「うん、姉さん、すきなんだ、おれ、どうしても、好きなんだ」
「そうなの、健一、ううん、してあげる、お立ち」
健一が立つと、窓があるところでは頭が天井につきます。斜め勾配の天井で、頭がつかないところに立った健一。スボンを脱がせてもらってブリーフを巻いた腰まわり。まだエプロンを取っただけの真衣が、健一の腰へ抱きつきます。もう、ぷっくらまえが盛りあがった健一。真衣にそのブリーフも降ろされ、股間にちかいペニスの裏側へ、顔をつけられてしまうのです。
「はぁあ、はぁああっ、はぁああ・・・・」
きっちり、右手に、健一のペニスを軽く握った真衣が、唇を根っこ裏につけてきて、ぎゅっときつく握ってしまって、根元へおろします。
「ああ、姉さん、おれ、おれ!」
健一が、ポニーテールにした真衣の頭のうしろを抱きます。勃起してしまったペニスを、真衣がしゃぶりだすのです。
「ううん、ああん、健一ぃ、おっきい、いい・・・・」
勃起してしまった棒状を、頭のほうを口に入れ、握った右手を前後ろ、いいえ口に対して上下に動かす真衣です。真衣の唇と手で刺激される健一。からだのなかがじ〜んとしてきます。なされるがまま、真衣が言うままに従う健一です。真衣が、衣類を脱ぎだすのは、このあとすぐです。

-32-

階下は陶房になっている真衣の住まい、中二階の部屋です。木枠の窓があるところは天井が低くてあたまがつかえます。窓から奥の壁際では、立つことができる高さです。立った大学院生健一の腰の勃起ブツを口に含んだ真衣が、それをやめ、健一に背を向け、着ている服を脱いでいきます。陶芸の作業中だったから、真衣の服装はジーンズのスラックス、パンストはつけていなくてショーツだけの軽装です。作業用のエプロンのしたは水色セーターにブラトップ。
スラックスを脱いでしまうと、健一が立ったままの真衣にすがりつくような格好で、膝まづき、ショーツにおおわれた腰から尻を抱きしめます。
「はぁああ、健一、どうしよう、わたし、ああっ」
太腿を抱かれ、布の上からとはいえ、顔を股間にあてがわれて、真衣はふ〜っとめまいにおそわれます。男子に抱かれる。それも年下の学生身分のイケメンです。恋してる、好きでした。その想いが、ふつふつとよみがえってきます。
「ああっ、健一、許して、健一・・・・」
「はぁああ、姉さん、おれ、おれ、好きだよ」
「うんうん、健一、わたしだって、ああ、ああっ」
ショーツを降ろされてしまう真衣。お尻から脱がされ、太腿から膝へと降ろされ、脱がされてしまう真衣。脱がされてしまうと、健一がたちあがり、うしろから抱かれる格好になってしまいます。下半身が剥き身になった真衣の上半身、ブラトップのインナーと水色セーターにエプロン姿。そのブラトップの裾から、腕を入れられ、乳房をつかまれてしまいます。

「ほうら、姉さん、おれ、おれ、もう、入れちゃう」
ブラトップとセーターの裾から腕を入れられ、乳房をまさぐられながら、立ったままの前かがみです。
「はぁああん、健一ぃ、あああん」
箪笥のヘリに手をおいて、お尻を突き出す真衣。足をひろげられてしまって、その真ん中、太腿の根元を右手でまさぐられていきます。もうインナーとセーターは乳房のうえにまでめくりあげられ、裸同然、その股間、真ん中へ、健一が勃起させたブツを、当て込んでくるんです。ポニーテールにした髪の毛が揺れます。
「ああっ、はぁああっ!」
乳房をまさぐられる感触に、突きあげられる感触が加わった真衣、しのび泣くようなお声を洩らしてしまいます。得体のしれない男の物に揺すられるからだ、奥の深いところがじんじんと、痺れます。
「はぁああ、ああ、健一ぃ、いいいっ」
「姉さん、おおおっ、姉さん、ねころぼう」
畳のうえに倒れ込む真衣。そこへ健一が覆いかぶさっていきます。仰向きになる25才、新進陶芸家の真衣。仰向いて膝をひろげて立てます。そこへ健一が覆いかぶさってくるんです。真衣の膝裏を両肩に担ぐ健一。そのままエビのように足をあげ、股間をひらいて折れていく真衣です。健一の男の勃起ブツが、真衣のヴァギナに挿しこまれてしまうのです。

-33-

中二階の四畳半、畳のうえに仰向いて、膝をひろげて立てた真衣へ、健一がかぶさってきて結合します。肩に担がれた膝が健一の腕でひろげられ、わき腹の横にまで降ろされて、真上を向いた股間の真ん中。健一がぶすぶすと挿しこみます。男のモノを受け入れる新進陶芸家の真衣が、我を忘れてしまって悶えます。呻きます。泣き出しそうなお声になって、年下の大学院生健一に、すがりついていくんです。
「ああ、ああ、ひぃいい、ひぃいい、いいいっ」
「ねえさん、おれ、すきなんだよ、ねえさん!」
「ああ、健一ぃ、すき、すき、わたしだって、好きよぉ」
ぶすぶす、真衣は男のモノを挿しこまれながら、ヒイヒイハアハア、その合間には健一に、思いを告げてしまいます。セックスをしているときにはその相手だけを想う真衣です。ほかの男との交情は、いまは脳裏にありません。しかし、健一には、微妙に真衣のこころが遠のいていると直感します。陶芸の作品制作が忙しいという真衣ですが、これまでは、忙しい時ほど精力的に結合してきたのです。別れの時を思うと、どうしようもない気持ちに落ち込んでしまう健一です。就職活動で東京へいくことも内定しそうなところです。遠距離恋愛なんて、あるのかしらと考えると、健一には重い選択を迫られる。それまでの猶予期間としてのいまです。

男と女が交合することは自然のながれです。好きあって、求めあうことで、気持ちを交わらせられる。その交わりが破局を迎えるときがあります。真衣の気持ちが揺れています。新進作家としてデビューするには、健一との関係を清算しなければいけないと考えるのです。そのことを敏感に感じる健一が、よりをもどそうとして訪問してきたのです。
「ああ、健一ぃ、好きよ、すきすき、どうしよう」
「ねえさん、ぼくが、さきに東京へ行って待ってるから」
「ああん、だめだめ、もっと、突いて、突いてよぉ」
「おおっ、姉さん、おれ、おれ、でちゃうでちゃう、ううっ」
スキンをつける余裕もないまま、健一が射精してしまいます。万が一のことがあったら、どうすればいいのか、女の真衣には、一番の心配ごとです。
「ああ、だめ、だめ、なかでだしちゃ、だめよぉ」
「あああっ、でるでる、うううっ」
健一が真衣のヴァギナから勃起ブツを抜いてしまって、射精は臍のうえへ、白濁の精液が飛ばされこぼれ落ちていきます。
「ああん、健一ぃ、もう、おわったの・・・・」
「だって、おれ、しゃないやろぉ」
「だめねぇ、健一ぃ、もっと強くならなくっちゃあ・・・・」
アクメに昇れきれなかった真衣が、ちょっと不機嫌な感じで、ショーツを穿きだし、ブラトップをかぶります。真衣の陶芸工房の、中二階の四畳半、そこは健一が訪ねてきたときには、愛の巣、だったはずです。

-34-

村上真衣が大学院生大野健一と恋仲に陥ったのは、真衣の興味によるところが大きかったのです。もちろん健一はまだ若い大学院生だから、性欲旺盛で、要求されるがまま三回でも五回でも、真衣と絡むことができます。真衣にとっては、思う存分、性的欲求を満たしてもらえる年下の健一に、恋したのは否めません。それから一年が過ぎようとして、社会のなかでの真衣の立場も、健一の立場も、微妙に変わってきたのです。恋が普遍だなんてことは真実ではない、と真衣が感じだしたのは、最近のことです。陶芸家をめざす真衣に、パトロン的存在の男が現われたからです。島津幸一、一度関係を結んでしまった相手ですが、真衣のほうが惚れこんでいったというより、島津幸一のほうが、若い真衣に惚れこんできたといえばよい。援助者、陶芸家として作家デビューするためのお金の支援をしてくれる。真衣には、そのことがますます幸一を受け入れてもよい気持ちへと導いていくのでした。
「もう、おわりに、しましょ、健一・・・・」
真衣の陶芸工房、中二階の四畳半で行為がおわったあと、洋服を着終わった真衣が、さりげなく、切りだします。
「どうして、姉さん、ぼくを棄てる、どうしてなの」
「うううん、どうしてでもないわ、いずれ、どこかで、そうなるからよ」
「ぼくが、東京で仕事をする、姉さんは陶芸家でデビューする」
「そうね、それぞれの道があるから、しかたないわ」
真衣にとっても後ろ髪を引かれる思い。健一がなにかわるいことをしたわけではなくて。愛しているとはいいがたいけれど、恋した事実は、認めます。

「だめだよ、姉さん、そんなの、だめだよ」
健一が、泣き出しそうな顔になってきて、真衣を見つめます。別れのときがくるなんて、考えられなかったけれど、現実となってきたいまです。大学院生健一の、男としてのセックスフレンド打算もあるとはいえ、恋して、愛しだした相手です。別れ話を持ち出して、立ち尽くしている真衣を、ふたたび裸にしてしまいたい欲望に駆られた健一です。
「ああん、もう、だめよ、健一ぃ」
真衣の目に涙がたまって、零れ落ちそうになっています。健一が荒々しく、いま着たばかり、真衣の洋服を脱がしにかかります。真衣は、なされるがまま、インナーを取られて、全裸になって、畳に敷いた蒲団に倒れ込みます。健一も、すかさず全裸になって、真衣のうえにかぶさってきます。
「ああっ、健一ぃ、もう、いっかいだけ、いっかいだけ・・・・」
「姉さん、好きだよ、ほんとだよ」
「ああ、そんなこと、健一ぃ、いっちゃだめよ」
健一に、乳房を揺すられ、股間のなかをこすられていく真衣。健一の言葉が、胸に沁みてきます。好きとか嫌いとか、そんな言葉はどうでもよくて、いっしょに居るか居ないか、それだけのことなのに、心が軋みます。
「ああ、だめよ、健一ぃ、ああ、ああっ」
「姉さん、ぼく、別れたくない、もっともっと、欲しい、欲しい!」
勃起させた男根を、真衣のヴァギナに挿しこんで、男の欲望を満たしていく健一です。








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最新更新日 2015.6.2


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