耽美試行

はなものがたり(1)-5-

 26~30 2015.4.2~2015.4.24

    

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(5)
島津幸一は、どうしたはずみか遊び心で抱いた未熟な陶芸家、村上真衣のことが気になってしかたがありません。恋、そうかも知れません。これまでに体験したことがない心のありかた、女性への傾斜する気持ちです。
<そうかも知れない、しかし、そうではない>
41才の幸一が独身でいることには、特別な理由があるわけではないのですが、縁がなかったとだけは言えます。
<だから、おれのなにが、それを欲しているのだろうか>
島津織物の社長になって、島津美術財団の副理事長にもなって、若くして経済界に名をはせていく位置にいるところです。
<こんな、名誉なんて、もう、いらない、真衣と一緒に居たい>
財務担当取締役の木村嘉一郎から、資金が枯渇してきているから銀行からの融資を受けなければなりません、との上申があったのが先週の金曜日。それから週が明けて明日が月の支払日なので、五百万が必要だといいます。融資が間に合わないというので幸一は、自分名義の預金口座から五百万を会社の当座に振り込むべく、銀行の窓口へ来ているのです。

<おれには、商売が、向いていないんだ>
<おれには、やりたいことがあった>
<倒産したら、おれは、どうなるのか>
「152番のお客さま、3番窓口へ、どうぞ」
カウンター上の指示ランプに152と赤い電気が点いて、幸一は3番窓口の前にたちます。
「この預金口座からお引き出しして、こちらへのお振込ですね、かしこまりました」
田村と刻字されたネームプレートを胸につけた女子行員が、テキパキと幸一の要件を処理してくれます。待つこと三分ほどで、振込の手続きが終わって、振込の控えと自分名義の預金通帳をうけとり、内ポケットにいれ、店の外にでます。
<妙子は、どうしてるのか、電話してみようか>
<いや、まて、それどころではない、なら、真衣は>
<女に会いたいなんて、そんな時じゃなかろう>
幸一は、マクドナルドの店にひとりではいります。昼下がりの店内は、意外とがらんとしています。異物混入という悪い評判が立って顧客が減った、とのニュースが流れていたのを思い出した幸一です。

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月曜日の昼下がり、幸一はおち正の女将越智妙子に電話してみます。越智妙子とは先輩後輩の関係から、恋人としてからだを求めあう関係になっています。
「なによ、島津先輩、なにかあったの?」
「いいや、いつもと同じだよ、会えないか?」
「それは、急にいわれても、午後3時なら、なんとか」
「3時でいい、風の俱楽部で待っているから」
妙子を真昼間から呼び出して、会いたいという幸一です。会いたいということは、関係を持ちたいということを暗に示していて、36才の妙子はその気になってやってくるだろう、と幸一は思うのです。祇園近くの安井に縁切縁結びの金比羅宮があります。そこから通りをはさんだ側に風の俱楽部があって、喫茶と雑貨の展示、陶芸などの小さな展覧会が催され場所でもあります。妙子がやってくるまでの時間、その喫茶部で時間を過ごす幸一です。
<2時半か、あと30分、待つんだ>
気が落ち着かない幸一に、風の俱楽部店主の美奈子が会話してきます。幸一が織物会社の専務であり島津美術財団の代表者であることも知っている美奈子です。地方公務員を退職し、この店を開店させたのが4年前の秋。開店の案内挨拶が財団に送られてきて、訪問して以来の顧客として、まま訪れる幸一です。

3時の時報がラジオから流れてきてしばらく過ぎて、妙子が店のなかへ入ってきました。入ってきて、顔をあわせて、妙子は座るまでもなく、そのまま幸一が外へ出るように促します。
「どうしたのよ、先輩、なんだか変よ」
「いや、急に会いたくなったんだ、妙子に」
「でも、まあ、いいや、つきあってあげる」
暗黙の了解は、近くのラブホテルに入ること。そこで二時間を過ごせば夕方、それから旅館へ戻っても月曜日だから、間に合う時間です。洋服姿の妙子もまた美しい。軽やかなセーターとスカート、それに一枚上着を羽織って、いつでもどこにでもいる清楚な女。幸一は、その妙子を見て、情欲をそそられるのは、窮地に追い込まれている証拠でもあるのです。ラブホテルは、アオイ、明るいから顔がさす、とはいえ入り口から入るしかないから、入っていく幸一が前、そうして幸一に続く妙子です。
「ああん、そんなに、急がなくっても、いいんだけど・・・・」
「そうなのか、時間は、いいんだね」
洋間の部屋に入って、立ったまま抱きあいます。逢瀬は久しぶり。その間に、陶芸家の村上真衣と交渉があったから、性的欲求は、それなりに満たした幸一ですが、二十日ぶりぐらいになります、この前の交情は三週間前、やはり月曜日でした。

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三十半ばの女、妙子には年齢からくる常識という範疇で、価値を判断する習性が身についています。接客の商売を営む立場だから、世間様の常識に沿うように考えて言葉を紡ぎださないと、とんでもないことになってしまいます。相手は、中堅織物会社の専務であり美術財団の専務理事である立場だから、社会的な信用といえばそれだけで人格の中身まで信用されるのです。
「ああん、先輩ぃ、わたし、脱ぐから・・・・」
抱かれた手をほどき、ブレザーの上着を脱ぎ、セーターを脱ぎ、ちょっとためらいながらも、スカートを脱いでしまいます。ブラトップのシャツ、白っぽいけれど花柄のショーツ、腰からしたには肌色のパンティストッキングを穿いている妙子です。
「うううん、妙子、おれ、こんな時間に呼び出して、ごめん」
幸一も妙子に合わせるかのように、ブリーフとシャツだけの姿になって、まだパンストを穿いたままの妙子を抱くのです。抱いて肘掛椅子に座らせる幸一。インナー姿の女、妙子の姿は、幸一に情欲を催させます。
「ああん、いいの、いいのよ、わたし・・・・」
肘掛椅子に座って、パンティストッキングを降ろしていく妙子。お尻を抜いて、太腿のところから丸めるようにして膝から足先を抜いてしまいます。素の足、太腿、膝、足首、妙子のからだのパーツが、幸一には情欲の対象となります。

ブラトップとショーツだけになった妙子の前に、幸一が立ちます。立ったまま腰を妙子のまえへと突きだしていきます。妙子はなれたもので、暗黙の了解です。左腕を幸一のお尻にまわし、右手をブリーフのなかへ入れるのです。ブリーフの布に隠れた幸一の性器が、妙子によって握られます。
「ああっ、妙子、おおっ・・・・」
布の中で握られ、皮を剝かれたとき、幸一は思わず声を洩らしてしまいます。握られたペニスから手を離され、いったんブリーフのなかから華奢な妙子の左手が抜かれます。そうして母親が子供のパンツを脱がすように、幸一のブリーフを太腿の根元にまで降ろしてしまうのです。
「はぁあ、先輩ぃ、はぁああ・・・・」
妙子は、握っただけなのに、もう興奮しだしているのです。幸一の半勃起ペニスをの根元から握って、亀頭から陰茎の半分までを、唇で絞めながら口の中へと入れてしまうのです。
「おおっ、おおおっ」
幸一は、立ったまま、妙子の行為にされるがまま、心もち足をひろげ、腰を突出し、手は妙子の頭に置きます。久しぶりにペニスをしゃぶられる幸一です。さすがに妙子の技はそつなく上手に思えます。
「ふうう、すうう、ふうう、すうう・・・・」
握った手を微妙に上下させながら、口に入れた先から半分を、舌でなめ、口をすぼめて吸います。幸一が感じる感じ方を、要領よく、わきまえているかのように、ぶちゅぶちゅと、音を立てているんです。幸一のモノをしゃぶったあとには、幸一が、自分を刺激してくれる、そんな期待が、妙子の脳裏をよぎっていきます。

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老舗料理旅館の若女将、三十半ばの妙子が、幸一の勃起ブツを口でしゃぶるというのは、世間の常識からみれば想像しがたい姿です。しかし、だからといって女としての妙子には、しかるべき姿で、なすようにしているだけの行為です。幸一が中堅織物会社の専務であり美術財団の専務理事である立場だからといって、いつも紳士であるわけではありません。女と男、生殖の行為は本能の領域です。
「おおっ、妙子、おおっ!」
ぐちゅぐちゅ、唇を絡まされて亀頭を刺激される立ったままの幸一。妙子の巧妙な手さばきで、びんびんに勃起させられてしまいます。
「ああん、先輩ぃ・・・・」
肘掛椅子に座った妙子のまえに膝まづき、太腿を両手でひろげ、真ん中へ顔を埋めていく幸一です。妙子の膝を肩にかけさせる幸一。ひろげ露出した妙子の股間へ、顔を当てていきます。幸一には、この瞬間がなんともいえない気分です。女の匂いが幸一を興奮させます。背中の腰下へ腕をまわし、肩に膝裏を乗せたまま、尻を前へとずらさせます。斜め上向いた股間へ、むしゃぶりつく幸一です。
「あああ、ああん、そんなに、激しく、しなくてもぉ」
「ううっ、ううううっ」
顔を妙子の股間に当てて、顔を横に揺すって妙子を刺激します。そうして縦割れの唇を舌で割り、その真ん中を舐め上げ舐め下げ、ぺちゃぺちゃと音を醸させます。

クンニリンクスから挿入へ、幸一は妙子の股間から顔を離して立ち上がり、中腰になります。
「はぁあああ、先輩ぃ、ああん」
「入れる、妙子、入れるぅ」
「はぁあ、ああ、入れて、入れてぇ」
腰の勃起ブツを老舗料理旅館の若女将、越智妙子のヴァギナへ、挿入する幸一。亀頭を挿しこみ、そのままぶすぶすと、陰茎を半分以上挿しこんでしまいます。中腰のまま、膝をひろげ、肘掛椅子の座部をまたぎます。
「あああ、ああっ、ひぃいいいっ!」
ぶっすりと、勃起ブツが根元まで、妙子のなかに隠れてしまったところで、幸一が座部、妙子の股間に密着して座ります。
「あああ、あああ、ああああっ!」
幸一が腰を左右に揺すります。妙子のヴァギナにはまった勃起ブツ、膣の内襞をこすってきます。
「ひぃいいっ、ひぃいいっ!」
妙子が、あごを上向け、快感に喘ぎます。男の勃起ブツをからだの奥まで、ぐじゅぐじゅと、挿しこまれ、こすられているからです。
「おおっ、妙子、おおっ、おおっ!」
「ひぃいい、ああっ、ひぃいいっ!」
肘掛椅子に座った妙子の股間へ、勃起ブツを挿しこんだまま、幸一が抱きしめます。上半身を密着、性器を結合、密着させてしまいます。

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椅子に座って向きあった二人がいったん離れ、ベッドの上へと移ります。ダブルのベッドに足を投げ出し気味であぐら座りの幸一の腰をまたぐようにして抱いてもらう妙子です。全裸のまま、幸一の腰をまたぐとき、勃起ブツをみずからのヴァギナに挿しこんで、そのまま密着させてしまいます。
「はぁああ、ああっ、ひぃいい」
「おおおっ、妙子、入ってる」
「はぁああ、入ってるぅうう」
幸一が妙子を抱きしめます。唇と唇を合わせます。互いに顔を斜めにして合わせた唇をひらき、舌をからませあいます。ぬるっとした軟体がうごめくのを、感じて、妙子が咽びます。幸一が乳房に右手を這わせます。
「ふううう、すううう、ふううう、すううう・・・・」
ぶっすり挿しこまれたままの勃起ブツが、微妙に蠢く感触に、妙子が呼吸を荒げます。幸一が、妙子をまたがらせたまま、足から腰を揺すります。妙子は、またいだ幸一の腰からお尻をずらせ、微妙に勃起ブツで襞をこすらせます。唇を離され、抱かれたまま反り返る妙子。
「ああっ、はぁああっ、先輩ぃ、ひぃいいっ」
「どうだ、感じろ、妙子、どうだ!」
尻を浮かせてひろげた妙子の股間へ、幸一が勃起ブツを半分抜いて挿しこむんです。ぶすぶす、挿しこまれた勃起ブツは、奥をまさぐったあと、半分まで抜かれてしまって、挿しこまれます。

「ほうら、妙子、ほうら」
「ああっ、ああっ、ひぃいいっ」
「入れたまま!」
「入れたままぁ、ああ、ああ、ああっ!」
「尻を、動かせ、ほうら、動かして、こすれ!」
「はぁああ、ああん、ひぃいい、いいっ!」
座って抱きあって密着させていたからだを、幸一のほうが仰向いて寝そべります。寝そべった幸一に、妙子が腰をまたいだまま、かぶさってしまいます。
「こすれ、こすれ、ほら、こすれ!」
「はぁああ、こおぅ、こおぅ、こするぅ、ううっ」
「おお、おお、妙子、尻あげてろぉ」
「はぁああ、ああん」
太腿をひろげたまま尻をもちあげた妙子のヴァギナへ、幸一が勃起ブツを挿しこんでやります。一気に挿しこんで引き抜く幸一。引き抜くとっても頭は残してふたたび一気に挿しこんでやります。三十半ば若女将の妙子は、突かれるたびに、痺れる快感を注ぎ込まれて、ヒイヒイとお声を洩らしてしまうのです。
「はぁああ、ひぃいい、ひぃいいっ!」
乳房を揉まれながら、幸一の唇で乳首を挟まれ揉まれ、ヴァギナへは勃起ブツを挿しこまれては引き抜かれます。妙子はずんずん、からだの芯を燃えあがらせます。勃起ブツ、男のシンボルではらだはメロメロになっていきます。幸一がもよおし、スキンをかぶせ、そうしてあとは一気に最後へとイッテしまうのでした。







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最新更新日 2015.4.16


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