耽美試行

かろす物語(1)-1-

 1〜8 2016.4.20〜2016.5.19

    

-1-

大島屋の主人は妾を囲っているというので、その妾を一目見たいと、取引先の若旦那がそれとなく、会わせてほしいと耳打ちしてきたのです。妾の名は紗枝、25歳、ワンルームマンションに住まわせていて、会社の経費から給料を支払っていて、セックスに敏感になるように仕立ててあるんです。
「だから、その若旦那は、だいじなお人だから、サービスしてほしい」
このように可愛がられてる最中に、主人から言われるとむげに断れない紗枝です。そもそも大島屋の主人とのなれ初めも、あのお店でした。
「ほな、紗枝、あさっての夜、金曜日やな、あおいホテルやで」
「はぁあ、わかりました、夜七時、あおいホテルへいきます」
大島屋の主人は還暦を迎えて、性欲はあるものの、肝心なことができなくなっているのです。紗枝との関係、それはセックスですが、道具ばかりを使っていては若いからだの紗枝が、辛抱しきれなくて、ほんものが欲しいというのです。丁度取引先の若旦那は35歳、独身、女を買いあさってなんてことができない時代だから、性欲処理にお困りなわけで、大島屋の主人が、配慮してあげるという、配慮なのです。その代り、代償は特に求めませんが、紗枝がその気になって昇っていくさまを、横で見物したいという、へんな感覚の錯誤を求めることでした。

あおいホテルは、祇園の東門から南へ、高台寺のほうへいったところの奥にたたずむ隠れ家ホテルです。いちげんさんお断り的な、ひとの紹介を通じて、利用できるラブホテルとでもいえばいいです。庭に面した廊下を突きあたったところの部屋が、紗枝と若旦那が通じ合う恥部屋です。
「いやですよぉ、わたし、若旦那のこと、存じていますもの」
「そうなの、紗枝さん、仲良くしよう、いまから4時間」
若旦那は着物すがた、紗枝も着物すがた、まるで浮世絵春画のごとく、絡み合います。
「はぁああ、若旦那、にぎって、あげますからぁ」
あぐら座りになった若旦那の腰の真ん中へ手を伸ばしていく紗枝。何もつけない晒だけの腰の真ん中。若旦那のモノがおおきくそそり立ちだしています。
「おおきに、紗枝さん、たっぷり、かわいがって、してな」
部屋の壁には畳からうえ90pにまで鏡が貼られている恥部屋です。布団が敷かれた畳部屋、布団のサイズに合わせた横幅で、ふすまを開けると鏡になっていのです。鏡は隣の部屋から見ればガラス窓、恥部屋の様子が手に取るようにわかるのです。大島屋の主人はこのガラスをとおして紗枝の喘ぎ悶える姿を観るというのです。
「はぁああ、若旦那ぁ、おっぱい、さわって、くださいな」
若旦那と向き合っている紗枝の手には男のモノが握られていて、上下に動かし、そのモノに刺激を与えていきます。手持ち無沙汰にならないように、若旦那には、おっぱいを触らせていく紗枝です。女座りにした足を横に伸ばして、太ももを見え隠れさせながら、胸をひろげさせるのです。

-2-

若旦那は35才、紗枝は25才、二人住まいするには適齢期とでもいえる年頃です。あおいホテルの和室です。布団が敷かれて壁際が横長の鏡になってます。この布団のうえでおこなわれる男女の交情を、鏡に映して興奮を得るという仕掛けです。紗枝が太ももをあらわにし、若旦那に抱かれて、太ももから股間をまさぐられていきます。
「はぁあ、はぁあ、ああっ」
「いいんですね、紗枝さん、このままで、いいんですね」
「はぁああ、いいです、このままで、いいですぅ」
和服の胸元がひろげられ、乳房があらわにされてしまう紗枝。腰からしたがめくられ、太ももからお尻があらわにされてしまう紗枝です。帯が解かれるまえには濡れてしまう紗枝。紗枝は若旦那の腰のものを握りしめ、若旦那には股間の柔肌をなぶられて、いよいよ男と女の交わりに仕向けられていく恥部屋です。
「はぁああ、うち、よこに、なりますぅ」
「うんうん、よこになりなさい、鏡にうつして、いいかねぇ」
紗枝の醜態というより美の典型を、鏡に映してその向こう。隣の部屋では大島屋の主人がマジックミラーの向こうを見ているんです。
横になった紗枝を裸にしていく若旦那。着物の帯を解き、脱がせ、白足袋も脱がせてしまって全裸になる紗枝。若旦那、鏡に映った紗枝の姿と、ナマの裸体をみながらも、興奮していきます。
「はぁあああっ、若旦那ぁ」
仰向かせられた全裸の紗枝が、若旦那を受け入れていくところです。若旦那が全裸で仰向かせた紗枝の膝を立て、太ももをひろげさせ、鏡にその股間が映るようにさせます。若旦那が、お尻を鏡に向ける格好で、紗枝のなかにかぶさっていきます。

挿入される男のモノと、挿入された女のモノが、見えるようにして鏡に映すことが、大島屋の旦那との約束です。
「ああ、ひぃいい、ひぃいい・・・・」
紗枝のあえぐ声が和室にひろがります。顔は明確には鏡に映りませんが、声はマイクがひろいあげ、隣の部屋へ拡大されて届きます。
「ううっ、おお、おおっ、紗枝さん、いいねぇ」
「はぁああ、うち、うち、どないしょ、ああっ」
「いいんかえ、気持ち、いいんかえ、紗枝さん」
若旦那の大きなブツが、紗枝のヴァギナに挿されて抜かれるさまが、鏡に映されます。鏡に映った交情の図はそのままマジックミラーに見入る大島屋の旦那、腰のモノが勃起してきます。見て、欲情をそそられる、それも囲った妾の姿態です。大島屋の旦那は、妾が別の男と寝て、そのあえぎを見て、興奮するというんです。
<うむうむ、なるほど、でかい尻、そこも、ぬれぬれ、情がわいてくる、ああ嫉妬、嫉妬だ、若旦那、まだ若い、おれだって、若かった、一晩に、にかいもさんかいも、やって、女を、よろこばせたものだ>
「はぁあああ、ひぃいい、ひぃいい」
「いいかい、いいかい、紗枝さん、いいのかい」
「ひぃいい、いい、いいです、若旦那ぁ」
ぶすぶす、ぶすぶす、紗枝の股間の柔らか口へ、若旦那の一物が挿されては抜かれているのです。

-3-

全裸になった若旦那が布団に仰向き寝そべります。壁に貼られた鏡のほうへ足を延ばして拡げます。襦袢だけの半裸になった紗枝に、襦袢をめくりあげさせ、腰をまたがらさせます。若旦那の顔と紗枝の顔が向き合う格好だから、鏡には紗枝の後ろ姿が、丸出しになった尻が映ります。
「ひやぁあ、ひぃいい、ひぃいい・・・・」
「ほうら、尻あげて、そうそう、抜いたらあかん」
「はぁああ、抜いたらあかん、ああ、ああっ」
紗枝がまたいだ若旦那の腰うえで、お尻を持ち上げ、挿し込んでいる男のモノをぎりぎりまで抜いているのです。後ろからはその光景が丸見え。亀の頭が挿し込まれた紗枝の股間の真ん中が、丸見えなのです。
「ゆっくり、おろして、きっちり、いれる」
「はぁああ、ゆっくり、おろすぅ」
「おおっ、紗枝、いいね、いいよ」
「ううっ、ああっ、ああん」
ゆっくり降ろされた紗枝の股間には、若旦那の勃起ブツが埋没していて、そとからは見えませんが男と女のからだの中では、きっちり密着しているのです。
「紗枝、紗枝、紗枝、いいぜ、いいぜ、いいよぉ」
「はぁああ、若旦那、いいですか、いいですかぁ」
「気持ちいいよ、紗枝、いいねぇ、紗枝、もっとだ」
「はぁああっ、ひぃいいです、ううっ」
ぶっすぶっす、ときおり紗枝が若旦那に覆いかぶさり、若旦那の唇を求めます。若旦那、紗枝の乳房を弄りながら、口吸い、舌をからめます。

紗枝が向き合う体位から、足のほうへ顔をむける体位になります。鏡に、紗枝の顔が映ります。胸が映ります。そうして結合させた股間が、鏡に映るようにと仕向けられます。
「あああん、ひぃいい、いいですぅ」
「ほうら、ほうら、じっとしてろ、突いてやるから」
紗枝が足をひろげ、後ろへ反る格好になっていくと、若旦那がしたから勃起ブツを挿し込んで動かしてきます。
「はぁああ、ああっ、ああっ、ひぃいい、ひぃいいっ」
「鏡を見てみろ、わかるか、映ってるだろ、恥ずかしい処が」
「はぁああ、だめ、だめ、そんなことぉ」
「鏡に映して、ほうら、紗枝、気持ちいいか」
男と女の交情です。紗枝の股間へ、若旦那の硬ブツが、ぶすぶすと挿しこまれます。紗枝、そのこすられる刺激で、ひいひい、はあはあ、ずきんずきんと登りあがってくる快感に、翻弄されてしまいます。
<ううっ、紗枝が、こんなにも、よろこぶとは、嫉妬だなぁ>
「はぁあああ、はぁあああ、ああっ」
「紗枝、いいだろ、もっともっと、鳴いてみろ」
「ひぃいい、いやぁああん、ひぃいいいっ」
「おお、おお、まてまて、いよいよ、でそうだよ」
<紗枝のやつ、いきやがる、いってしまいやがる、おおっ>
マジックミラーをのぞき見つめる大島屋の主人が、いいしれぬ嫉妬心と好奇心を抱いてきます。自分の妾を十分に満足させられないから代わってやったものの、35才の若旦那には、とうてい勝てない性欲とその威力です。

-4-

<大島屋の蔵の中>
大島屋は織物問屋で、千本通りに面した表では会社を営んでいます。かっては生活する家屋であったけれど、いま、主人は家族共々、鳴滝に家を構えて、そこに住んでいます。このまえ、取引先の若旦那に妾の紗枝を引き合わせ、言い関係にしてやったところ、お互いが気に入って、言い関係を続けたいという始末です。大島屋の主人大島平三は、嫉妬心を抱きながら、このままでは逃げられてしまいそうな紗枝を引き留めておくためにも、若旦那、平田敏夫と共有するのが得策だと思うのでした。
「なぁああ、紗枝、そんなに平田の若旦那がええんなら、関係続けてもかまわん」
「そやかて、だんさんには、申し訳ないじゃないですか」
「ええんや、からだだけ、平田にやって、こころは俺にあればいい」
「そうですか、そんなこと、いいんですか、わたし・・・・」
大島屋の会社は京都の奥に深い敷地で、離れには蔵があります。大島平三はその蔵を仕事場にしています。内装を整え、調度品を置き、図案集や着物全集などの高価な専門書を並べた書棚を設えています。そのほかには、趣味の道具とか、といえばいいのか、女がよろこぶ様々な仕掛けをこらして、整えている空間です。
「そうだ、紗枝、だから、ここは、俺と紗枝だけの場所にしたい」
「わかりました、わたし、だんさんにしたがいます」
紗枝は二十五歳、平三の妾になって、芸事やお遊びや、それに高尚な芸術にふれながら、自分を磨いていきたいと考えているところです。大学では古典文学から近代文学までを学び、文章を書いていきたいとおもうところです。そのためにも、大島平三の妾になることで、生活が保てると思うのです。妾と言えば古めかしいが、契約だと思えばいい、と紗枝は思っています。

「さあ、帯を解いて、ここに、立ちなさい」
したにはなにもつけなくて、白い襦袢に梅小紋の花柄着物を身につけた紗枝に、帯を解くようにと平三がいいます。
「はい、わかりました、こうですか、こんなふう」
帯を解くというのは、女の肌を見せるということです。紗枝はこころえたもの、平三の趣味に合せていきます。前をはだけさせて、腰あたりをてにして、すそをあげ、腰から太ももになる処を覆い隠してのたちポーズです。平三が趣味の写真を撮るための、ポーズです。
「そうだね、そうそう、右の太もも、見せろ」
三脚にハッセルブラッドという外国製のカメラをつけて、ピントグラスのなかに紗枝の艶姿をみている平三です。かっては高級なフィルムカメラでしたが、デジタルの時代になって、デジタルパックをつけたハッセルブラッド、やはり高価なカメラといえばそういえるカメラです。
「はぁああ、だんさん、これくらい、これくらいですか」
「うんうん、もうすこし、足をだして、なまめかしい姿に」
撮影は口実と言えば口実で、何カットかを撮ったあとは、平三に触られる紗枝です。還暦を過ぎた平三と二十五歳の紗枝では、結婚ということもあるけれど、そればかりは、京都は西陣の世間が許さない。
「紗枝、そのままでいいから、手をはなせ」
紗枝を立たせたまま、手を離させると、襦袢と着物の前がひらいてしまいます。紗枝の乳房があらわになります。腰の前があらわになります。太ももから膝が、膝から足首があらわになります。白足袋をつけた足が新鮮に紗枝を引き締めます。
「はぁああ、だんなさま、だめ、さわったら、だめですぅ」
からだに手を伸ばしてきた平三に、紗枝がことばで抵抗します。こころから思っているわけではなく、女の羞恥心がそうさせる。
「なになに、さわってほしいんだろ、紗枝」
立った平三が、襦袢と着物だけの紗枝を抱こうとしてきたのです。しかし難なく抱かれてしまう紗枝です。

-5-

土蔵の中につくられたスタジオで、紗枝をモデルにして撮影を行う平三です。着物と襦袢を着流しにさせ、立たせたままカメラを向けます。着流した梅小紋の着物と白い襦袢の縦割れに乳房があらわれています、陰毛があらわれています。足には白足袋を穿いた紗枝は25歳をこえるところです。
「ああ、だんさん、こそばいです、ああっ」
撮影は中断、抱かれていく紗枝。平三が立ったままの紗枝を、やわらかく包むようにして抱きます。そうして傍に置いた藤で編まれた肘掛椅子に座らせます。乳房が露出し、腰から太もものつけ根が露出した紗枝が、なまめかしく座ります。還暦を迎えてしまった大島平三です。性欲はあるというものの、立派には役に立たなくなっているからだです。
「ほうら、紗枝、足を、あげて、ここへ」
肘掛椅子に足をそろえて座った紗枝に、右の足をあげさせ、座部のへりに足裏をおかせるのです。右足の太ももがめくれてしまいます。膝から太ももが露出してしまったところで、膝をひらかせ、肘掛に当てさせます。
「ああん、だんさん、こんなの、写真に撮るん?」
「そうだな、撮ろうか、それとも、どうする」
「どうするっておっしゃっても、だんさん、すきにして」
綺麗なからだだと平三は思う。白い肌、すんなりした足、黒い毛が艶めかしいが、そえが情欲をそそるといえばそそります。右足をそとがわへ傾けさせると、つぎには左の足裏を座部のへりにあげさせます。白い足袋の足裏を合わせるようにさせて、膝を拡げきらせてしまいます。
「ああん、だんさま、こんなの、恥ずかしいですぅ」
「手は、あたまのうしろ、くびうしろだ」
「はぁああ、こうですか、そんなのですか」
藤で編まれた肘掛椅子は少し大きめに作られているから、座部にあぐら座りができるひろさです。

土蔵の中は昼間でも暗いといえば暗い場所。電気がつけられるから明るくなるとはいえ、人工の光り、明るさです。着物と襦袢で、帯を着けない紗枝を、肘掛椅子に座らせ、足をあげさせ、開脚させ、形でいえばMの格好です。手は頭の後ろへまわさせたものだから、胸が半分露出です。
「ああん、だんさん、だめ、こそばい・・・・」
紗枝がおかれた肘掛椅子の、正面に立った平三が中腰になって、紗枝のからだを触りにきます。紗枝は、平三の趣味で、慣れてはいるとうはいえ、始まりの最初には恥ずかしい気持ちにさせられてしまいます。
「ふんふん、紗枝、若旦那と交わった罰を与える、いいね」
「はぁああ、罰ですかぁ、ああん」
「そうだ、たっぷり、可愛がってやる」
肘掛椅子の後ろへまわった平三が、黒い男物の兵児帯を手にして、紗枝を足ごとたすき掛けにしてしまうのです。膝をひろげさせ、脇腹の横にまでひろげさせ、大事な処を開帳させて、じっくり可愛がってやるというのです。
「はぁああ、だんさん、いやぁああん、こんなのぉ」
初めてではない羞恥の姿に、紗枝はそれでも女の羞恥がふつふつとわいてきます。正面にまわった平三が、紗枝の股間を触りにきます。
「紗枝、平田の若旦那の味、どうやった、よかったか?!」
「いやぁああん、だんさん、そんなことぉ」
紗枝は、その味を、美味しかったとは言えないところです。若い身体にまだ若い身体の男と女のまぐわいです。女の紗枝にしてみて、美味しくないわけがありません。でも、それを言えば平三に責めの口実をあたえるようなもの。紗枝は、それでなくても責められる。

-6-

藤で編まれた肘掛椅子は男でもあぐら座りができる広さです。紗枝が尻を置いているのがこの肘掛椅子に座らされた格好です。着物の前がはだけられ、兵児帯で膝ごとたすき掛けをされているのです。とはいっても開脚ですが膝はひろげたりすぼめたり、左右に動かせるといえば動かせます。ただ、足首からうえは宙に浮いた格好で、手腕は頭の後ろ、首後ろで手首が括られています。
「ああん、だんさん、そんなの、めくったらぁ」
「ええんじゃ、紗枝、めくって、ひろげて、拝んでやるんじゃ」
「ああん、いや、いや、恥ずかしい」
紗枝は平三に逆らうつもりは毛頭ありません。でも、秘部の奥を隠す唇を、ひろげられてしまうのだから、言葉で抵抗です。羞恥心をやわらげるためのせめてもの慰めです。
「おお。濡れておる、紗枝、なかなか、濡れておるよ」
「いやぁあん、見ちゃだめ、だんさま、そんなこと、ああん」
膝を左右にひろげられ、足首が宙に浮いている体位です。お尻の芯がまえへずらされ、腰から背中が斜め上にせりあがっています。必然的に股間が斜め上を向いていて、大事な秘部が丸出し状態です。

土蔵の中、着物と襦袢を着けているとはいっても、脱がされているのと同然、隠すべく処は露出され、着物の色艶が情緒をはぐくむだけです。白い肌、黒い髪の毛、股間のうえ、恥丘に生える黒いちぢれ毛、縦割れの恥唇のまわりにもちぢれ毛がちょろちょろと生えているんです。
「おお、いいねぇ、紗枝、たっぷり、拝んで、それからだ」
平三の精力は、心と身体がすでにバランスをうしなっていく年代です。若い紗枝の精力を満たせてやるには道具が必要。紗枝は、その道具を使われ、持続させられ、アクメを迎えていくのです。
「ほうら、紗枝、ぬるぬるだねぇ、感じてるのか」
「ああん、ひやぁああん、だんさま、ああん」
「指が、ほうら、べっちょり、濡れて、しまうよ、紗枝」
「ああん、だめ、そんなの、みせないで、恥ずかしい」
「いい顔だぜ、紗枝、うれしいんだろ、恥ずかしいかい、うっふふっ」
平三が右の指二本、指腹をうえにして、紗枝の秘境部へ挿しいれ、抜き、挿し、うごめかします。
濡れてくる紗枝の秘唇、そのなかの襞、ふくれてすぼみ、ふくれてすぼんできます。平三の指二本が挿しいれられたまま、紗枝の襞がこすられます。紗枝が喜悦に声をあげだすのは、このころからです。

-7-
紗枝が乱れだすと平三の心のなかは穏やかではありません。若い紗枝が洩らす呻き喘ぐ声を聴きながら、平三はこの紗枝に逃げられはしないかと心配するのです。取引先の若旦那に紗枝を交わらせたことが、はたしてよかったのかわるかったのか。商売上の成り行きで、そうしたことで取引がすすみます。大島屋へ反物の注文が来て、月に100万円、年間1200万円の引き受けを若旦那の会社がやってくれるというのです。そのかわり、紗枝が生贄となる。独身35歳、取引先の若旦那です。月に二回ほど、紗枝と交わらせて欲しいというのです。
「ああん、だんさん、ああああん」
平三の指が二本、紗枝の秘部に挿しいれられて、こねまわされて、紗枝が身悶えしてきます。籐で編まれた肘掛椅子は半ば骨董品です。紗枝の呻き喘ぎで身体が揺すられると、ぎしぎしと軋むのです。
「紗枝、感じるんか、おお、濡れて、濡れて」
「いやぁああん、だんさん、お口で、吸って、あああん」
指を入れられている紗枝が、口をも使ってほしいというのです。平三は、指を挿しこんだまま、唇を紗枝の秘部に当ててやります。肘掛椅子にはM字開脚の紗枝が、着物と襦袢を身に着けたまま、括られているのです。土蔵の中は薄暗いんです。しかし、電灯が、照明が、そことはなしに付けてあるから、紗枝のまわりは暗くはないです。
「はぁああ、だんさん、ああっ、いいっ、いいですぅ」
平三の唇が、紗枝の股間を舐めだしたのです。

肘掛椅子にM字の格好になっている紗枝の前に座り込む平三です。無音は緊張を高めすぎるからと、好きな音楽を流します。好きな音楽といえばクラシック、このような土蔵の中では邦楽かと思いしや、フルトベングラーが指揮するオーケストラ曲なのです。
「はぁああ、だんさん、そこ、そこ、ああん」
紗枝の秘部に唇をあてがい、舌先で割れ目をなめあげる平三です。紗枝の匂いを、紗枝の味を、むっくら、うづうづ、気持ちは高まってくるけれど、肝心の男のモノは完全ではないのです。唇で縦割れ秘唇をなめあげながら紗枝の奥を指でまさぐるのは、そこまで。平三がたちあがり、紗枝のまえに仁王立ち。腰のモノを剥き出して、紗枝の口に含ませるのです。手は頭の後ろで組ませていて使えませんから、口だけを使わせます。
「ほらっ、紗枝、なめろ、口に、ほおばれ」
ぐぐっと腰を突き出し、右手で根元をつまんで、紗枝の口元へともっていきます。紗枝は、口をあけ、平三の性器を口の中に入れます。そうして顔を上下にゆすって、生煮え平三の性器を奮いたたせるのです。
「ううっ、うううっ」
「おおっ、ええわぁ、紗枝、おおっ」
「うううっ、ふうううっ、うう、ううっ」
「もっと、ほおばれ、もっと、もっとだ」
平三のモノが硬くなってきます。平三は紗枝の頭後ろへ左手の平をあてがって、紗枝の頭を支えます。じゅるじゅる、紗枝の秘部からは、とろとろの蜜が糸を引くように流れでてきます。平三は、その秘部はそのままにしておいて、右手の平を乳房へ降ろし、まさぐり、乳首をつまんでやります。

-8-

平三のモノを頬ばる紗枝がくぐもった声を洩らします。
「ううっ、うぐうぐ」
手に平三のモノをはさみ、かるく握り、先のところを唇にはさむ紗枝。唇にはさんだまま、平三のモノを口の中へ挿し込みます。平三は腰を突き出し、腰のモノの扱いを紗枝にまかせます。紗枝は慣れたもの。やわらかく、きつく、平三が感じていくように、柔軟に扱います。
「いいぞ、紗枝、おおっ、いいぞ」
「ううっ、ううううっ」
紗枝が口に頬ばったまま、目線をあげて平三を見ます。ぞうして目前を落とし、目をつむり、手をモノに沿ってスライドさせます。平三のモノが硬くなって、紗枝との交合にいどみます。肘掛椅子に座った紗枝を退かせて自分が座ります。座ってお尻の芯をまえへずらせる格好で、紗枝に腰をまたがせます。硬くなったモノを紗枝の股間の縦割れ唇をひらいて、口の中へ挿入させて、尻を太ももの付け根へ降ろさせるのです。
「はぁああ、だんさん、ひぃいいっ」
「おおっ、紗枝、いいねぇ、おおっ」
「はぁああぃ、いいです、いいですぅ、ううっ」
紗枝が身ぐるみ剥いで素っ裸になります。平三の腰をまたいで、抱きつきます。平三はその紗枝を抱きしめます。

土蔵を改造したアトリエ兼スタジオです。肘掛椅子に座った平三の腰をまたいでいる紗枝です。男のモノが女のモノに挿しいれられて、まさぐりあいます。平三のほうは、もう長く持続させられない年代だから、紗枝が満足に至らないまま、終えてしまうことばかりです。
「ああっ、だんさん、おっきい、おっきい」
「ううっ、紗枝、ぐいぐい、動かせて、おくれ」
「はぁああぃ、ああっ、ああっ」
「おお、そうだ、いい、いい、いいぞ」
「はぁああ、いかせて、くださいな、だんさん、おねがひぃ」
紗枝が燃えてきます。乳房をまさぐっていく平三。腰からのモノは硬いままなのか萎えだしているのか、そろそろ平三の限界が来ているのか、紗枝はぐいぐい、股間を平三の腰へこすりつけています。
「ううっ、ううっ、だんさん、だんさん、ひぃいい、いい、いいですぅ」
「おおっ、紗枝、いいのか、いいのか、おおつ、おおっ」
平三のモノが萎えだすまえに、一応の痙攣と放出があります。紗枝は、なにも防御しないでそのまま受け入れます。
「うううっ、ああっ、ああっ、あああん」
上半身をくねらせ、顔をのぞけらす紗枝。それなりにアクメに近くまで昇ってきたのです。でも、まだまだ深い処へ導いて欲しいと思う紗枝です。








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最新更新日 2016.5.30


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