えろすかろす日記

えろすかろす(2)-1-

 1~8 2015.6.8~2015.7.3

    

-1-

山野美幸は二十歳を過ぎたころから、仏像の美に魅せられてしまった女子です。その兆候は16歳、高校生のころには芽生えていたと思われます。京都に生まれすごしてきたなかで、花の寺として知られている法金剛院の十一面観音さまの像を見たとき、なにか光るものをその観音さまのなかに見たように思ったのです。そのときは、あっ、と思ったきりで、それがなぜなのかということなど、考えることもありませんでした。
「美幸って、観音さまみたいやん!」
「どうしてぇ、わたし、そんなのに見えるん?」
「うんうん、美幸って、可愛いってゆうより、凛としてるしさぁ」
「なによ、そんなの、ほめれくれてるん?」
「そうだよ、ほめてるんだよ、おれには、美幸は国宝級だよ!」
立原康介は、美幸よりも二年先輩の男子です。いま、美幸は大学の四年生、来春卒業です。まだ就職先が決まっていなくて、リクルートルックで就活中です。康介はすでに大学を卒業していて、大手銀行に就職していて丸二年がすぎるところです。
「だめだよ、康介、わたし、康介のこと嫌いじゃないよ、でもぉ」
「でも、どうしたのよ、いいじゃないか、はいろうよ」
祇園の近くの安井金毘羅さまのところにある葵ホテル、康介がまえから目をつけていて、美幸を連れて入りたい、といつのころからか思っているのです。つまり、男と女の関係になりたいと、思っているのです。
「ううん、わたし、いま、就活中なのよ」
「それは、関係ないと思うけど」
「ううん、ああん、はいっちゃう」
もう暗くなった時間だから、ひとに見られているとは思っていないけれど、ラブホテル、初めての場所、処女、大学四年生の美幸には、いまさら恥ずかしいことだけど、と思う気持ちがあるから、素直には入っていけないのです。そんな抵抗感を持ちながら、清純な育てられ方をしてきた美幸には、ある種の罪悪感があるのです。

-2-

二才年上の立原康介が求めてこなかったから、求めに応じていかなかった美幸です。大学を卒業する歳になっても男の人を知らない美幸は、誰にも言えずに悩んでいました。友達との話のなかでも、曖昧な受け答えしかできなかった美幸。いつしかセックスの場のことを夢見るようになって。いたのです。
「うううん、康介、わたし、はじめてよ・・・・」
「そうなの、ぼくも、はじめてだよ」
「そうだったの、はじめてどうしなのね、わたしたち」
「いいんだろ、美幸」
葵ホテルの一室で、美幸が康介に抱かれます。抱きあって、キッスをします。内心、ドキドキ、美幸には未経験だけど、ネットの中のビデオ映像で、その場のことは知っているつもり。
「はぁああ、ううっ、うううっ」
込み上げてくるものがあります。得体のしれない、ぬるま湯のような感覚。康介の舌が絡まされ、美幸は、それが生きた軟体動物を、口に含んだような感覚を覚えます。こんにゃくの舌触り、どんなものかとひとりいるとき夢想して、それらしきものを口で弄びました。康介の手が、乳房を触ってきます。自分でさわる感触とはまったくちがう、こそばいようなじわ~っとくるような、うっとりの感覚です。
「ううっ、ああっ、はぁああん」
立ったまま抱きあっている康介が、美幸の手を腰へと当てさせます。ズボンをはいた康介の、腰はぷっくらとふくらんで、それが男の人の性器だと美幸は思います。実物は、見たことがありません。いいえ、意識して見たことがないといえばいいのでしょうか。写真や映像では、無修正のものを密かに見ています。

抱きあって、上着を脱いで、インナーだけのすがたになった美幸。ブラトップとショーツです。康介はシャツにブリーフ。抱きあって、ダブルのベッドへ、倒れ込みます。まさぐりあう、康介の手が、ブラトップを首元まで押し上げてきて、乳房に唇をつけられます。美幸は、康介に導かれるまま、ブリーフのなかへ手をいれ、まだ見ない性器をにぎらされます。
「ふうう、うううっ、ふううう」
「ううん、みゆき、ううううん」
康介がブリーフを脱いでしまって、シャツ一枚です。美幸は、康介に導かれてショーツを脱ぎます。ブラトップを脱ぎます。全裸です。
「ああん、こうすけぇ、あああん」
「ううん、みゆき、おれ、いれる、はじめて・・・・」
美幸が仰向き、足首をひろげます。康介が美幸の上半身におおいかぶさり、膝のあいだに入ります。康介の腰のモノ、ペニスはもう勃起しています。その勃起ブツを、美幸の股間でまさぐります。ヴァギナをさがして、先を挿しこみます。
「ああっ、あああっ、いた、いたい・・・・」
康介のペニスの頭が、美幸のヴァギナに挿しこまれたのです。初めて受け入れる美幸に、激痛が走ります。読んでいた知識では想像できない痛みの質です。
「ああっ、こうすけ、だめ、だめ、いたい・・・・」
「ううううん、みゆき、さいしょなんだ、そろっと、でも入れる」
康介だって、処女が最初の経験には、痛みをともなうから、無理をしてはいけない、と読んでいたから、そろっと挿しこんでしまったそのとき、射精をもよおし、引き抜いて、美幸の腹のうえへ、白濁液を飛ばしてしまったのです。

-3-

山野美幸が立原康介と、初めて関係を結んだのは、むし暑い梅雨のさなかでした。それから美幸が、康介と次に会ったのは、一週間後のことです。
「ううん、なんでもないの、後悔してないよ」
「それならいけど」
「だから、わたし、康介が、ぐっと近くなった感じよ」
「おれだって、そうかなぁ、美幸のこと」
ドトールの二階のカウンター席で、横に並んでブレンドコーヒーを飲みながら、会話するふたり。透明な窓のしたに、四条大橋を行きかう人の群が見えます。男も女もそれぞれに、それぞれの生きかたを生きている。とおりすがりの男女は白々しい無関係です。美幸は、二つ年上で銀行員の康介と重ねて生きていると思うだけで、なんだかほっとする気持ちになっています。
「うん、いいよ、このまえのとこ、いこ」
「ほんなら、ごはん、どうする、あとでいいかい」
康介は、夕暮れになるのを待って、食事をしないでそのまま葵ホテルへインしたい気持ち。美幸としても話題にしたことだから、すぐに行きたい気持ち。このまえの続きをやりたい。このまえは初めてだったので、緊張ばかりで、なにがなんだかわからないうちに終わってしまって、痛みだけが記憶に残った美幸です。夕闇が迫るのは午後七時を過ぎてからです。手をつないで、肩を寄り添えて、とはならなくて、並んで歩く美幸と康介です。葵ホテルの前に立った時はもうあたりは暗くなっていました。人の気配もなく、静かな入り口に立った美幸は、康介と並んで入ったのです。

部屋の名前は<御所の壱>、部屋は和室で四畳半と三畳です。二つの部屋は三枚の襖が嵌められていて、三畳の間は大きなベッドだけ。ベッドのむこうの横長の襖をあけるとそこは鏡です。
「うううん、ああん、康介ぇ・・・・」
立ったまま抱かれて、美幸は、こころのなかで声を出してしまいます。まだ洋服を着たままです。スカートにシャツ、インナーをつけているけど、ナマ足、ストッキングは穿いていません。
「うううっ、美幸・・・・」
シャツとズボン姿の康介が、唇を重ねてきます。美幸は、薄く唇をひらけてなされるがままに従います。康介の舌が挿しこまれてきたので、美幸が舌を絡めます。唇が重ねられ、舌が絡められながら、康介が、美幸の胸をまさぐりだしたのです。
「ふうううっ、ふう、ふうう、ふううううっ」
シャツの裾から手をいれてくる康介、ブラトップのなかへも入れてきて、美幸の肌に康介の手が這います。肌を触られた美幸は、こそばいようなぞくっとするような感覚になります。キッスをしたまま、まさぐられるからだ。康介が、美幸の右手を、ジッパーを降ろしたズボンの中へ、導きます。美幸は、それがなにをするための仕草なのか、無意識に、康介のモノを、まさぐりだすのです。
「うううん、あああん、康介ぇ・・・・」
キッスをとかれ、乳房をまさぐられながら、美幸は康介の男根を握ります。初めて、勃起した康介のペニスを握ったのです。

-4-

葵ホテルの御所の壱の間で、山野美幸と立原康介の交情が始まっていきます。四畳半の和室、三畳のベッドルーム、まだ洋服をつけたままの二人が、抱きあい、まさぐりあいます。美幸は、このまえに初めて、康介と交情したところです。大学の四年生になるまで処女だった美幸です。二年先輩で大手の銀行に勤める康介は、これまでに何人かの女性と性交渉を持ちました。このことは、美幸には内緒、というより話題になっていないから話していないのです。
「うううん、お口にいれちゃう、うん、してみる・・・・」
康介のズボンの中をまさぐっていた美幸が、フェラチオを要求されて、初めての体験をするところです。四畳半の畳部屋、四角い座敷机があって座椅子があって、美幸は、その座敷机に座ります。スカートを脱いで、シャツを脱いで、ショーツとブラトップだけの美幸です。康介は、シャツとブリーフ姿、靴下を穿いています。座った美幸の前に立った康介です。ブリーフを太腿の中ほどまで降ろして、美幸の目の前にペニスをつきつけます。
「はぁああ、ううっ、はぁああっ」
ちいさな驚きの声をあげてしまう美幸。男の勃起したペニスをナマで見るのが、初めてなのです。どうしたものか、困惑するまえに、美幸は、その突き出されたペニスの陰茎部を、右手で軽く握ったのです。そうして美幸、唇をペニスの頭につけます。唇を丸めて、先っちょの柔らかい部分をはさみます。ぬるっとした感触、濡れている感触、康介のヌル蜜が、唇についてきたのです。美幸には、その液が、自分のなかへペニス挿入されるとき、スムーズにするための潤滑油であると知るのは、後日です。
「ううっ、美幸、ううっ、ああっ」
「はぁああっ、うぐぅ、うぐぅ、ううううっ」
「くわえて、しごいて、しごくんだよ」
康介が、ペニスを握った美幸の手に、自分の手をかぶせて、陰茎に沿って上下に動かさせるのです。握ったまま、スライドさせ、亀頭を唇から口に入れさせ、吸わせる。舌で舐めさせる。

正方形の黒塗り座敷机に美幸を座らせたまま、康介が座椅子の座布団にあぐら座りです。まだブラトップとショーツをつけた美幸の、ショーツを脱がします。美幸は、ためらいながらも、康介のなすがままに従ってきます。ショーツを脱がせたあと、美幸は手の平を、座敷机に着いて、上半身をやや後ろへ倒します。康介が、膝をひらかせます。美幸が、あっ、と小さな声を洩らして、ナマの丸まった膝がひろげられてしまいます。
「はぁあ、ああっ、あああっ」
美幸が、上半身をよじります。膝をひろげられた美幸は、康介の手の平が太腿の内側に這わされてくるのを、こそばゆいと思いながらも、なされるがままです。
「はぁあ、ああ、ああっ」
康介からお尻を前へもってこさせられ、お尻が座敷机の縁にきて、股間がはみ出してしまいます。康介が、その美幸の股間へ、顔を埋めてきたのです。
「ああっ、はぁあん、ふうう、すうう、ふうううっ」
息する美幸の声が、かすかな音を立ててきます。康介の唇が、股間の真ん中をまさぐってきます。後ろへ倒していた上半身を、まえにもってきて、康介の頭を抱くようにして、膝を左右に、めいっぱい、ひろげてしまって、康介の舌の擽りに堪えている美幸、初体験です。
「うううん、こそばない、こそばくないよ、あああん」
「そうかい、美幸、ここ舐めるの、初めてだけど、クンニってゆうんだね」
「くんに、ああ、クンニって、わたし、そうなの・・・・」
もう恥ずかしいことはないけれど、見られていることを意識しちゃうと、こころが締められる感覚です。夢の中の時間、康介との交情、情を交わらせる、男の人と結ばれる。

-5-

葵ホテルの御所の壱の間で、美幸は、康介と二人だけになってまだ30分も経ってしまったのに、時間の感覚がまったくつかめないでいます。性急な康介の導きで、フェラチオを行なわさせ、美幸がクンニリンクスされる処まで、たどりついてきたのです。この前に初めて性の交渉を行った美幸には、今日のこのことが、性行為のまえにおこなう戯れであることを、体験しているのです。
「はぁああ、ああん、康介ぇ、こんなの、恥ずかしい・・・・」
ぺちゃぺちゃと淫らな音がたちのぼるラブホテル葵の部屋です。美幸には、人前で、膝をひろげて股間を見せるなんて、思いもかけないことです。
「うううん、美幸、おいしいよ、美幸のここ、おいしいんだよなぁ」
「ああん、いやぁああん、そんなことぉ」
密かに自室でアダルトのビデオで見た美幸、その光景です。頭の中では、そういう場面も想定できるのですが、いざ自分が、いま、そのことをしていると思うと、とっても恥ずかしい。
「恥ずかしい、康介ぇ、そんなこと、ゆわないでぇ」
でも、美幸のからだは、言葉とは裏腹に、得体のしれない、誘惑が、からだのなかをほとばしってくるんです。
「ベッド、いこか、このまま」
四畳半の向こうは三畳の間で、襖で区切られたベッドルームです。ベッドのサイドにある横長のカーテンをひらくとそこは鏡です。ベッドのうえに寝そべって、美幸は、仰向きです。康介が、仰向いた美幸の肌に自分の肌を密着させてきます。抱きあいます。唇を重ねあいます。
「うううっ、ううっ、ううううっ・・・・」
美幸は、男の肌を感じます。なにやら硬い筋肉の感じが、思うほどには硬くなくて、それは柔らかい感じでもあります。
「うううっ、うう、ううっ・・・・」
唇を重ねて、舌を絡ませる。美幸は、からだのなかが火照ってくるのが、わかります。仰向いてぶかふかベッドのシーツの上です。

康介が、唇を重ねたまま、からだをすり寄せてきます。右腕が美幸の首うしろへまわされ、抱きしめられます。左手が乳房をまさぐってきます。あたたかい康介の手の平。乳房にかぶせられた手の平から、乳首をつままれてしまいます。ピリピリと乳首からの刺激が、からだのなかを這ってきます。唇を離された美幸の口元からは、小さな声が洩れ出ます。
「ああっ、ああっ」
「ふうう、美幸ぃ、美幸ぃ」
「はぁああ、康介ぇ、ああっ、康介ぇ」
康介の太腿が、美幸の太腿の間に入ってきます。美幸が太腿をひろげます。康介が、美幸の膝裏に腕をいれ、膝を立てさせます。
「ううん、美幸ぃ、いいね、いいね」
太腿をひろげ、膝を立てたその間に、康介が正座の格好で座ります。そうして、康介の手が、美幸の股間を弄りだしたのです。
「ああん、はぁああ、ああん」
康介が、美幸には、見られているとは思えないけど、康介は美幸の股間を観察しているのです。美幸の股間、陰毛のしたには縦割れの唇が尻のところまであるんです。かぶさった股間の唇を、指で開いてやります。そうして、康介にその秘密を見られてしまう美幸です。
「ああっ、はぁああ、ああっ」
康介がおおいかぶさってきて、ヴァギナにペニスを挿しこみだしたのです。美幸には見えません。感触だけです。痛い、一瞬、そう思った美幸は、痛い、と声をあげてしまいます。痛いとは言葉にしたけれど、それが痛みだったかどうだったかは、わかりません。快感なんて覚えない。窮屈なペニスの軋みが、美幸を、複雑な思いにさせてしまうのです。

-6-

葵ホテルでは、二時間の予定でいたから、眩い巷の光を見たのは午後九時過ぎでです。夜の食事がまだだったから、四条小橋まで戻って、中華店へ入って、餃子とラーメンのセット、美幸は、ラーメンではなくて八宝菜を注文します。蛍光灯の明るい店内で、美幸は康介の顔を見るのがなんとなく恥ずかしくって、下を向いてしまうのです。
「ううん、そんなのと、ちがうのよ、後悔なんて・・・・」
「それなら、いいんだけど」
「わたし、このまま、もっと、一緒にいたい気持ち・・・・」
「おれだって、そうだけど、明日、休みだし、このまま」
「このまま、別れるのが、つらい気持ち・・・・」
餃子がテーブルに並んで、ラーメンと八宝菜が並んで、美幸は、康介と向き合って、食事をはじめます。大学の美術研究会の先輩後輩、二年前から、康介が四年生の卒業まえから、たまに会って話をする関係が続いて、最近になって急接近したところです。一線を踏み越えたところ、男と女の関係となって、美幸は未婚の母にはなりたくないとは思っていたものの、想像していた未婚でのセックス体験。先輩の康介と、そういう関係になってしまったのを、後悔はしていません。
「美幸の部屋へ、行っても、いいかい」
「はぁあ、来てもいいけど、恥ぃな・・・・」
畳な六畳のワンルーム、部屋のなかが散らかっているから、困ったな、と美幸は康介の前で思ったのです。明日は週末だから、銀行員の康介は休みです。美幸は大学生だから、特別の予定は入っていません。美幸のワンルームは、市中の学生マンションです。

角のローソンへは、美幸だけがはいり、サンドイッチとカルピスウオーターのペットボトルを買って、表で待っている康介と合流。狭い通りの、薄暗い路地に入り口があります。
「ここよ、三階よ」
階段をあがって、静かに歩いて、三階5号室のドアをあける美幸です。夕方から会っていて、ラブホテルで過ごした二時間。夜の食事を終えてワンルームへ帰ってきたときはもう午後11時です。
「ふううん、これが、美幸の、部屋かぁ」
清潔な部屋のなか、洗濯をおえた下着を吊ったハンガーが、目に入ります。
「ああん、そんなに見まわさないでよぉ」
美幸は、私生活のところを見られていることで、恥ずかしい気持ちになります。
「ううん、美幸の匂いがするんだ、いいねぇ」
「ああん、だめよ、お洋服、脱がさせてぇ」
康介が、二人だけになったと思ったとたんに、大胆に、美幸を抱きにかかってきたのです。美幸は立導き入れた康介が、男であることを理解していないのです。男が性欲を盛んにするのは、いつものこと、ましてやセックスを交わした続きだから、なおのことです。23才と21才の若さだから、欲求のままに、明け方まで抱きあいます。
「ううん、さっきはさっき、いまはいま、まだ、時間たっぷり」
「ああん、もう、夜、遅いわ、時間ないよ」
何の用意もしていない美幸。避妊具コンドームは、康介が用意しているかも知れない。葵ホテルでは、そうでした。

-7-

美幸のワンルームは白とピンクが基調です。一人用の木のベッドは淡い白塗りです。シーツはベージュ、お布団は淡い桃色です。姿見の縦長鏡があります。直径40cmの丸いテーブルに背凭れ椅子、これも無垢の木で作られています。それに学生だから、勉強机があります。それに整理たんす、洋服をかけるボックスタイプのハンガー。就活してるから、黒の上下服に黒い鞄、学生美幸のワンルームです。
「お茶、入れる、ほうじ茶だけど・・・・」
美幸は、いったん抱かれかかった康介をふりきり、小さなキッチン、流し台のまえに立ちます。ティファールのポットにお水を入れて、湧くまで一分程です。後ろにいる康介のことが、気がかりになっている美幸。夕方から会って、ラブホテルへ行って交わり、中華店で食事を終えて、バスに乗って帰ってきた自室です。康介が、部屋にいる。いっしょにいる。二人だけです。
「きれいな部屋やねぇ、ホットな部屋、素敵だね」
背後から康介の声が聞こえて、美幸は、どう答えたらいいのか、戸惑いながら、自分の部屋にいるのに、宙に浮いたような感覚です。陶器のお茶碗にいれたお茶をテーブルのうえに置く美幸。床のカーペットに座った康介が、足に抱きついてきます。
「いいんだろ、美幸、美幸も座れよ」
「はぁあ、座るけどぉ、お茶を、飲むのに・・・・」
LED電球の光で、明るい部屋です。

美幸が康介と向き合うようにして、座ります。膝上スカートとタンクトップ姿、それにインナーはブラだけです。向きあった美幸のからだを90度、向きをかえさせて、肩を抱いてくる康介に、美幸は戸惑いながら、なされるがままです。
「ううん、美幸、ゆっくり、たっぷり、しようよ、なぁ」
抱き寄せられる美幸。橙色、一畳のカーペット、梅雨の日、空調を入れだしたから、部屋はこころよい気分にさせてくれます。
「はぁあ、ううっ、ふぅううっ」
あぐら座りする康介に、仰向いて抱かれる美幸の唇に、康介の唇が重ねられます。重ねた唇、美幸、康介の舌を受け入れます。うごめく康介の舌に、自分の舌を絡めて、まさぐられます。
「ふぅううっ、ううっ、ふぅううっ」
康介の左腕にだかれて、仰向く美幸。タンクトップのその胸に康介の左手が置かれてきます。美幸は、左腕を康介の背中にまわし、右手を康介の肩にかけます。タンクトップの裾から手を入れられる美幸。深いキッスをしたまま、ブラをおしあげられ、乳房を直接まさぐられるのです。
「ううっ、はぁあ、ああっ、ああっ」
キッスが解かれ、抱かれている腕が解かれて、美幸は、橙色カーペットに仰向きです。タンクトップが脱がされ、ブラジャーをはずして、上半身、裸になります。康介が座ったままで、ズボンを脱ぎます。ワイシャツを脱ぎます。ブリーフだけになります。

-8-

カーペットのうえで抱きあって、淡い白色ベッドに寝そべったときには、美幸も康介も全裸です。夜が更けた美幸のワンルームです。シングルベッドに仰向いた美幸が、膝を立て、太腿を開いて、康介を受け入れます。覆いかぶさってくる康介が、ペニスをヴァギナに挿しこんできます。
「ああん、こうすけぇ、はぁああ、ああん」
「ううっ、みゆきぃ、うううっ、ああっ」
康介のペニスが、美幸のヴァギナに挿しこまれ、二人が抱きあいます。美幸が仰向き、膝をもちあげひろげられ、、康介が足をひろげて美幸に覆いかぶさるのです。ただ一点で密着しているペニスとヴァギナです。大学四年生の美幸は、このあいだ処女を康介にわたしたばかり。今日の夜には祇園近くのラブホテルで、交情したばかりです。別れつらくて、美幸のワンルームへやってきたのです。
「はぁああ、ああん、はぁああ、ああん」
美幸が、かすかな声をあげてきます。康介には、美幸の甘ぃ声が刺激です。
「ううっ、みゆきぃ、うううっ、ああっ」
「ああん、あああん、こうすけぇ、はぁああ」
まだ処女を棄ててから数回しか交情していないのに、美幸は、まだ快感がどういうものか、わからないまま、からだへの刺激に咽ぶのです。

普段は美幸がひとりで寝ているベッドに、いま、康介が一緒にいます。それも全裸で、抱きあっているんです。抱かれているんです。抱いてあげているんです。
「はぁああ、ああん、こうすけぇ」
「いいね、みゆきぃ、すきだよぉ」
「ああん、こうすけぇ、うちもよ、こうすけ、すきよ」
ペニスが挿入されていて、康介が腰を動かすから、美幸はからだがとろけてしまいそう。康介には、硬い実が熟してくる感じで、ほんのり柔らかいヴァギナです。まだ硬いままなのに濡れだした美幸のヴァギナです。康介が、用意していたスキンをつけて、美幸に臨みます。
「ううっ、ああっ、みゆきぃ、いいいっ」
「ああっ、あああっ、こうすけぇ、ひぃいい」
軽い快感、昇れそうで昇れない美幸。康介のペニスが挿されて抜かれ、挿されて抜かれるのに、昇りきれないもどかしさです。でも、もう、痛みはありません。美幸、康介が射精する痙攣をうけて、軽く呻いてしまうのでした。康介が最初にやって来た美幸のワンルームで、まだぎこちない性の交情でしたが、これを機に、ずんずんと性交渉の深みにはまっていく大学生の美幸です。
(この章おわり)









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最新更新日 2015.7.4


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