耽美試行

えろすかろす(1)-1-

 1~8 2015.1.1~2015.1.12

    

-1-

新しい年になりました。昨日と今日が連続しているのに、旧年新年というだけで、なんだか遠くに離れた時間のようにも思われます。新年には、新しいことを始めようと思う。ここでは新しい小説を書きはじめるというのが役割のようです。それもタイトルがえろすかろすとしているから、なんとなく人間の男と女の間の出来事についての記述、を連想します。小説の意図としては、現実ではない出来事を、現実のごとく記述することで、いっそうのリアリティを獲得するということです。だから、登場人物は男と女です。この組み合わせ、たとえば年齢は、立場というか地位は、といったその登場する人物を形成する外形を決めていきます。それからその人物たちをとりまく環境を決めていきます。人はそのなかで、読者の欲望を代弁する立場を確保します。事の当事者にはなれないが、あたかも事の当事者になったかのような疑似体験をさせられるかどうかです。こういった領域の理想とするレベルは、読んでいくうちに男なら射精してしまう、女ならオーガズムに至ってしまう。そういうレベルを想定して、小説に仕立てていくわけです。さて、はたして、そうゆうことが可能かどうかです。そうゆうことが可能になるレベルを確保しようとすると、それは情欲をもよおさせるということで、タブーの領域に入ってしまうと想定します。

登場人物のうち男は、アラフォー、四十前、三十九歳のサラリーマン、銀行員、支店長候補で、いまは支店次長、本店の係長、といったイメージです。さて女は、大卒三年目になる二十五、女子銀行員、窓口担当。支店の上司と部下。男の名前は前田雄介、女の名前は木村里香、前田は家庭を持っており、里香は浮気相手です。
「いやよ、次長さん、そんなこと言ったら、わたし、哀しい・・・・」
「だって、里香は、ぼくの、セフレだよ、セックスフレンド」
金曜日の夜八時、ラブホの一室での会話です。抱きあって、まさぐりあって、里香がその気になってうわずった声をあげだしたころ、前田は里香のこころを突き放すような気持ちにさせてしまうのです。
「はぁああん、いや、いや、そんなこと、いやですぅ」
「だって、でないと、もう、里香とはいっしょにいられない」
前田は、里香に、金を貸してほしいというのです。金額は50万円、月曜日にはいるというのです。使い道は、元カノへの手切れ金、というより借りていた金の返済を迫られているらしいのです。全裸にされている里香、前田健介も全裸です。ダブルのベッドのうえで絡まっている最中、前田が勃起ブツを里香のヴァギナに挿しいれてしまって、結合してしまったときなのです。里香は、からだを疼かされて、うちがわから燃えあがらせきたところだから、なんなく前田の要求を受け入れてしまいます。
「はぁあああ、ああっ、ひぃいいい~~!」
若い里香のからだをオーガズムにまで昇らせてしまう前田のテクニックです。里香には初めての男、前田のテクニックに、からだもこころも捧げてしまうのです。

-2-

雄介と里香がいまいるラブホテルは、風水という名称で、京都の祇園から徒歩五分ほどの裏町にあります。ホームページを見て、東京方面からの利用も多いといいます。というのも、このラブホテルは、様々な仕掛けがあって、和風から洋風、愛のルームからSMのルームまで、単に肉体の欲求を満たすだけではない趣向が凝らされた部屋があるのです。その風水ホテルの103号室、ここではいま、M銀行の支店次長の前田雄介が部下の木村里香と交情している最中です。50万円を貸すことで了解した里香を、ダブルのベッドのうえで四つん這いにさせ、膝をひろげさせ、尻をもちあげさせ、うしろから膝立の雄介が、結合しているところです。里香の目の前は横にひろがる鏡です。うしろから突かれる里香の顔が、鏡に大きく映ります。
「ほうら、有香、どうや、ほうら」
「はぁあ、ああん、次長さぁあん、はぁああん」
組んだ腕をベッドについて、顔をあげ、突き上げた尻を撫ぜられながら、ぶすっ、ぶすぶす、39才雄介の勃起ブツで突かれる里香。
「はぁああ、ひぃいい、ひぃいいっ」
「おおっ、ああっ、ええやろ、里香ぁ」
「いいです、いいです、ああっ、ああっ」
ずんずんと、丸くて鈍い刺激をからだに注入される里香には、なんともいえない快感です。無意識に喘ぎ呻く声を洩らして、雄介をよろこばせるのです。

からだの歓びを知ってしまった木村里香には、それを与えてくれる上司の前田雄介が憎い人に思えて、とはいっても好きな人でもあって、一日の時間の大半は、この雄介のことばかりを想いめぐらせているのです。大学を卒業するまで好きになった男子がいなかったというのは嘘で、好きな男子には片思いでした。言い寄られる男子には、どうしても興味をもてなかったから、清純なまま、銀行へ就職してしまったのです。大学時代には男友だちが沢山いたとしても、もう一歩、友だち以上に踏み込んだ関係にはならなかったのです。その里香を迎えてくれたのが、イケメン上司の前田雄介です。何度かの飲み会があって、二年目の秋、酔った里香は誘われるまま、雄介とラブホテルへ連れてきてもらった、というところです。
「ああ、いい、いい、いく、いく、あああっ」
バックスタイルから、騎上位になって、二十五歳の銀行員、木村里香がアクメを迎えていくところです。ベッドに仰向いて寝そべった雄介の、腰にまたがり性器を交合させたまま、腰を動かすのは里香です。密着させた股間を、尻とともに前へ、後ろへとスライドさせて、男のモノで女の襞をこするのです。
「はぁああ、ああ、いく、いく、あああっ!」
「おおっ、いけ、いけ、里香ぁ、いけ、いけ!」
雄介のからだが硬直し、里香のヴァギナが締まりきり、とろとろに濡れたところで、昇りきってしまう里香。雄介の痙攣がからだの奥で感じる里香。突き上げられる快感。もうなにもわからない、男の腰にまたがったまま、果てていって、かぶさっていく、二十五歳の木村里香です。

-3-

木村里香の職場は銀行です。熊野神社が近くて、平安神宮にも近いところにある銀行の支店で、いまは窓口を担当しています。制服の胸にはネームプレートがつけられていて、お客さまにも名前がわかるようにされています。応接は丁寧に笑顔で接しなければ、クレームがくるから、里香はこころとは裏腹に笑顔で応対します。
「清水さま、お預金残高が多くございますから、定期にでも」
笑顔で、初老の顔見知り男性には、通帳を返すときに勧奨します。近年は預金金利が低くて、定期預金といっても金利は低いと思っている初老の人には、勧めにくいのですが、声をかけると案外、すんなりと、定期預金へと移し替えてきます。
「ありがとうございます、またのお越しをお待ちしております」
にっこり、毎朝、歯を磨いた後には、鏡を見ながら、笑顔をつくってトレーニングする里香ですが、今朝もこのトレーニングをしながら、前田雄介の顔が、あたまのなかにちらついていました。
「265番の方、一番窓口へお越しください」
ロビーに待っていらしゃるお客さんにアナウンスしながらも、里香は後方を意識しています。窓口カウンターにむかって笑顔を見せている里香。こころは気になる、里香のうしろにいる支店次長の前田雄介のことです。ふ~っとこの前の金曜日の夜、あの風水ホテルで約束してしまった50万円を貸すこと。職場にいるときの関係は、他人です。上司と部下、不倫な関係が職場で知られてしまうと、転勤させられるか退職するか、里香はまるで罪を犯しているかのような気持ちです。

この日は、月曜日なのに、お金の受け渡し、現金で渡すために、里香は雄介と会うことになっています。午後八時四条小橋をさがったところにある喫茶店。里香が先に入って待って、しばらくしてスーツ姿の雄介がやってきます。ウインナコーヒー、夜の喫茶店、待っていると、二人づれのカップルが、客としてきているのに気づきます。幸福そうな男女、みんな訳なんてなくて、いいカップルなんだ、と里香は思ってしまうのです。
「これ、はい、はいっています」
50枚の現金を入れた白い事務封筒を、テーブルを介して座っている雄介に差し出す里香。昼の休み時間に近くの郵便局へ行って、ATMでおろしてきた現金です。
「ありがとう、感謝するよ木村くん、ありがとう」
「いいのよ、次長さん、わたし、期待していないから」
里香のことばは、いろいろな意味が込められているのですが、雄介には返済を猶予してもらえるとの解釈です。この現金の受け渡しには借用書がありません。15分ほどで喫茶店を出て、そこから四条大橋を渡って祇園の方へと歩いていきます。誰が見ているかわからないから、里香は数メートルうしろから、暗い路地へはいるまで、雄介のあとについていきます。今夜は風水ではなくて葵旅館へ。ここはラブホ風ではない感じがして、これまでにも何度も休憩に来ているから、里香には、もう後ろめたさもなくなった、とはいいながらも妻子ある男性とのラブラブだから、気持ちは複雑です。
「二時間だけだよ、明日も仕事だから、いいね」
「・・・・」
「さあ、はいろう、里香、いいね」
二時間だけのショートタイム、あっというまに終わってしまう時間、セックスするためだけに確保する時間。25才、銀行勤め三年目、適齢期を迎えている里香には、もっと未来のある幸福な時間がほしいと思いながら、39才の支店次長、ある意味エリートの前田雄介と、うたかたの時を過ごすのです。

-4-

葵旅館の時間貸し部屋は、本館ではなくて別館、三階建ての洋風建物で、花街の京都をイメージしたつくりになっています。外見は洋館ですが内部はつくりは四畳半の和室、襖の奥は三畳間にダブルのベッド、それに大きめのお風呂と洗面場、それに洋式トイレです。深い紅色のベッドサイドには濃い赤のカーテンが引かれています。カーテンをあけるとそこは横長の鏡です。ベッドのうえの出来事をそのままリアルに映し出す鏡です。、大手銀行の窓口担当25才独身、木村里香の今夜は、上司の前田雄介と葵旅館別館、四畳半の和室で抱きあい、それから全裸にされて三畳間の大きな鏡を前にするダブルベッドへとあがります。たっぷり、ねちねち、時間いっぱい、里香は男に愛されるのです。
「ううん、ああ、次長、ああっ」
私服とはいっても通勤着だから、濃紺のタイトスカート、白いブラウスに濃紺ブレザーです。インナーは花柄ピンクのお揃いブラとパンティ、脚には肌色ストッキングを穿いています。
「はぁああん、ああん」
「いいんだろ、里香、つけんでもいいんだろ」
まだ服を着たまま、四畳半の畳に立ったまま、抱かれて唇に唇を、かるく触れられてから雄介の手が耳たぶから耳うしろを撫ぜてきて、耳元で囁かれる里香です。抱かれてしまうと、からだの力を抜いてしまって、もう放心したかのような状態で、つけなくてもいい、という言葉の意味を、おぼろげに理解していきます。スキンをつけなくてもまだいい日ですが、そのぶん快感はおだやかなように感じている25才の里香です。いつものように、はじまっていく愛の交感、優しくしてほしい、こころを開放させてほしい、里香はうっすらと脳裏に、自分の容姿を描いてしまいます。
「はぁあ、こわい、わたし、でも、いいの、つけなくても・・・・」
目をつむり、耳元から首筋へと触れられる感じに、こそばゆい感覚がしみいってきます。意識は、なまのままが、やっぱりいいけど、みごもると、それはたいへんなことだと思ってしまう立場です。

前田雄介が、里香が着ている濃紺のブレザーを脱がしてやります。脱がされたブレザーが畳の上へ無造作に落とされます。
「急がなくっちゃ、いけないね、二時間だから」
「ああん、そんなこと、ゆわないでください、次長さん」
白いブラウスのボタンがうえから三つまではずされ、ブラの上、みぞおちのところを撫ぜられ、雄介の右手が、花柄ピンクのブラの内側へと挿しいれられます。里香は、目をつむったまま、雄介の左腕に抱かれて、密着からからだを離され、乳房を弄られます。
<ああっ、つめたい、冷たい手・・・・>
硬くて大きな感じ、まだ冷たい雄介の手の感触、じかに胸をさわられた25才の里香は、ふ~っとこのまま気を失ってしまいたい気持ちです。快楽は罪悪、未婚の里香にはモラルがあって、快楽を与えてもらえる男は妻子ある身、だから世間一般通念上、許されない愛、奪うほどの気持ちにもなれない里香、悶々の日々、そうしていま、その男とふたりだけの部屋で、こうしているのだと思うと、こころが奈落の底を見てしまうのです。
「ああん、次長、ああっ、ああん」
スカートがすそからめくられ、お尻のうえまでめくりあげられ、腰のストッキングの内側へ39才前田雄介の手が入れられてきます。左腕で背中から抱かれて、右の手がお尻の処から入れられてそのまま前へまわされてきます。ストッキングとパンティの内側へ入れられた前田雄介の手が、里香の股間をまさぐってきます。
「ううっ、ふうううっ」
唇を雄介の唇でふさがれる里香。ぐっと抱きしめられ、ストッキングとパンティをこじ開けた手が、股間へと這入ってきます。
「ううっ、ううううっ」
雄介の指先が、やわらかい、股間の真ん中へ這入ってきたから、里香は足をこころもちひらき、腰を突き出すようにして、受け入れます。局所へ指を挿しこまれてしまう。痛さはなくて、いっきに胸が詰まる感じで、刺激を受け入れるんです。

-5-

四畳半の和室、開かれた襖の向こうにはダブルベッドが用意されています。ベッドのサイドには大きな鏡が張られてあって、男と女が交合する、そのすがたを反映させることができる装置です。四畳半の方には座敷机と座椅子が二つ、それに鏡台、チリ箱、昭和の時代を思わせるアンティークです。
「はぁあ、ああん、次長、あああん」
股に手を入れられてまさぐられると、里香はもう立っているのが辛くなってきます。からだが疼いてきます。まだブレザーを脱いだだけの姿です。雄介は、里香を座敷机に座らせます。黒い紫檀の漆塗りです。里香はお尻を置いて、その前に雄介が立ちます。
「ほしいんだろ、里香、ぼくが欲しいんだろ」
「ああん、いじわる、次長のいじわるぅ」
「ふふん、里香、ちんぽ、欲しいんだろ」
「いやです、そんなこと、いっちゃ、いやですぅ」
立っている39才前田雄介が穿いているズボンのベルトを外しにかかる里香です。ベルトを外し、ズボンの留めを外して、ジッパーを降ろしてしまう里香。黒っぽいブリーフを穿いた雄介の、そのなかへ手を入れ、男のモノを握ってしまう里香。
「おおっ、里香、しごいてくれ、里香ぁ」
「はぁああ、しごいてあげる、わたし、あああっ」
立ったままの雄介は、ズボンを足元まで落としていて、脱いでしまって、里香のブレザーの横へ退けてしまいます。ブリーフの中へ手を入れた里香が握った男のモノを、ブリーフを降ろして露出させます。見てしまう里香。男のモノを見てしまって、それを口に頬張る。ごくごく自然の流れで、そうしてしまうんです。

男のモノを握った里香は、もう正気ではありません。唯一人の男のまえで、羞恥心をもかなぐり捨ててしまいます。
「ああん、そうよ、わたし、ほしいの、わたし、欲しいんですぅ」
きっちり、里香の右手に握られた雄介のモノが、すでに勃起しています。勃起して、握られて、剝かれた皮から首が飛び出して、その首から頭を、里香の唇が、挟んでしまいます。
「はぁああ、次長ぉ、はぁあああ、ああっ、うぐうぐ」
唇で挟んだ亀頭をそのまま、顔を押しこむようにして、口の中へと入れてしまう里香。太腿の根元までおろしたブリーフを、膝のところまでおろしてしまいます。黒い毛に包まれた陰茎の根元、里香の右手の小指が、つけ根の茂みにこすれます。口の中に含んだ男のモノを、舐め、吸い、舐め、吸い、じゅぱじゅぱ、口から亀頭
を抜いてしまって陰茎を、舌の先でぺろぺろとなめだします。硬直する雄介のペニス。
「ほうら、なめろ、口に頬張れ、ほうら、里香」
フェラチオさせながら、里香のブラウスを脱がしにかかります。その仕草、ボタンをひとつ外すと、里香があとは外していきます。ペニスを咥えたままで、ブラウスのボタンを全部外して、雄介に脱がされてしまいます。ブラウスを脱がされた里香は、雄介のペニスを握ったまま、立ちあがります。里香が立ちあがると、雄介がしゃがみ込みます。里香のスカートを脱がし、パンストを尻から抜いて、パンティと一緒に太腿へと降ろしてしまうのです。

-6-

銀行員である男子の上司が、部下の女子と関係を持ってしまうという筋書きは、よくある話で、なにも銀行員に限らなくても商社でもよくある話です。男と女が出合う場としての職場、男子も女子も一人身で適齢期であれば、そのまま結婚という段取りになっていくのですが、支店次長の前田雄介には妻子があります。39才、行内では若くして支店次長の職にある前田雄介は、エリートコースを歩む一人です。その雄介が女子行員の部下でもある木村里香と関係を持ってしまったことで、女子行員の間で噂が立ちだしたのです。次長は若くて美人の木村里香とラブホテルへ行っている、という噂です。それとなく里香は、そういう噂が立ったことを、同僚の山根由利から聞いたのです。そのことは、雄介には伝えてなくて、成行きに任せているところです。
「ほら、里香、からだを反らせて、膝をひろげて、股を見せるんだ」
ストッキングとパンティを脱がされてしまった下半身、丸出しになった里香は座敷机にお尻を置いて手を後ろに着いているのです。
「はぁああ、次長、ああん、こう、こうなのぉ」
ぴったしくっつけている膝を、拡げろと言われて、里香は言われるままに、拡げてしまいます。ズボンを脱いでしまって下半身裸の雄介が、畳にあぐら座りで里香のまえに座ります。
「そうだよ、こんどは、ぼくが、里香を可愛がってやるよ」
ブラウスのボタンは外したけれど、まだブラジャーは着けたままの里香です。

里香は手を後ろに着いて、上半身を反り返らせ、膝をひろげだします。股間が雄介の目の前に突き出されます。
「ああん、次長、ああ、ああん」
雄介の双方の手が、里香の太腿の内側に当てられ、下部にさしいれられ、持ち上げられて抱かれます。
「ふふん、里香、柔らかいんだ、ぽちゃぽちゃ」
「いやぁああん、そんなこと、いわないで、ああん」
「おおっ、ううっ」
雄介の顔が、里香の股間へくっつけられてしまいます。縦割れの柔らかい唇が雄介の唇にとらえられてしまいます。
「ああん、次長、あああん」
紫檀の座敷机にお尻を置いた里香が、太腿を開いてしまって、股間を突出し、雄介の唇と舌で、その真ん中を、じゅぱじゅぱ、じゅるじゅる、弄られるのです。里香には、その部分だけを愛される愛され方はあまり好きではありません。抱きあって、結合されている愛され方が、好きなのですが。
「ほうら、里香、いい気持だろ、指、ほうら」
雄介は里香の局所への口づけから、顔を離し、左腕を尻にまわして、右手の指を、いま口づけていた処へ、挿しいれてしまうのです。
「ああっ、はぁああ、ああっ、次長・・・・」
里香の顔が軋みます。雄介が挿しいれた指が、壺の奥へと這入りこんできて、襞を擦ってきたから、その衝撃です。からだの奥が萌えあがってくる里香。おからだが内側から膨張する感覚に見舞われてしまったのです。

-7-

二時間の予定で入った葵旅館、愛を紡ぐ部屋です。雄介も里香も、唇と手指を使い使われた前戯がおわったところです。襖で仕切られた三畳間のダブルベッドに、里香が仰向いて倒れ込みます。そのうえへ、次長の前田雄介がおおいかぶさっていきます。
「里香、ほら、たっぷり、可愛がってやるよ」
「はぁああ、たっぷり、いっぱい、やってほしい・・・・」
里香も雄介もすでに全裸です。唇を使い手指を使って、お互いをまさぐりあって、その気になってきて、濡れてきたところでベッドのうえです。
「里香、柔らかい、ほら、おまえのおっぱい、ぷたぽた、ほうら」
「いやぁああん、そんなこと、ああん、恥ずかしいからぁ」
ベッドの右壁には横長の大きな鏡が張られています。雄介はその濃厚なカーテンをひらけてしまって、鏡の中に里香と自分の交情のさまを見ていくんです。
「ほら、見てみろ、鏡、映ってるよ、里香」
「ああん、あああん、はぁああん、恥ずかしい」
仰向いて裸体をひろげた里香の胸、仰向いてもぷっくらと盛り上がった里香の乳房を、雄介が柔らかくにぎってやって揉んでいきます。里香は、雄介のペニスをまさぐり、探して、握ってしまいます。
「ううん、里香、ええんやろ、気持ちええんやろ」
「はぁああ、次長、はぁああ、ああん、いいですぅ」
「ほうら、里香、足をひろげろ、ほうらぁ」
ベッドのうえ、よこの鏡まで1mほど、里香には見る余裕がないけれど、男の雄介には鏡の中を見る余裕があります。足をひろげさせ、股間を観察する雄介です。見るだけでもよおしてきたのは二十歳代、いま、もう、三十を終えようとする年だから、握られて感じる、擦られて感じる、そうしてなによりもヴァギナに挿入して擦る、それで男の欲望が放出されていくんです。

こうしてからだを絡ませていると、なにもかも、忘れてしまう二十五歳の銀行員里香。大学を卒業して三年目、金融の仕事に就いて仕事をこなしていきたいと希望に胸を膨らませ、入行できた大手銀行です。その希望とは裏腹に、本店の営業部ではなくて、京都の支店の窓口の担当に配属されて三年目です。それよりも関係を持った上司とのやりとり、結婚は考えていないけど、一緒に生活できるものならば、生活したいと最近は、思うようになった里香です。人目を忍んでラブホテルへ、部屋にはいって交情するだけに、なってしまった最近です。
「ああ、ああ、いい、いいっ」
「おおおっ、里香、ええ気持ちなんやろ、おおおっ」
四つん這い、後ろから、次長の雄介が、ぶっすぶっすと突いてきて、鏡にお顔を映されて、まるで虎のようにお首をふって、その喜悦に悶える里香です。
「ああん、次長、あああん」
うしろからペニスを挿入されたまま、背中から胸へとまわされた手の平で乳房を握られ揺すられて、乳首をつままれてしまいます。里香、両の手を、ベッドに着いて肩をもちあげ頭を上げます。背中がベッドと水平で、ベッドに着けた膝をひろげて、お尻だけ持ち上げます。雄介が、乳房とお尻を弄ってきます。ぶっすりとペニスをヴァギナに挿しこまれたままだから、悶える里香です。じんじん、からだのなかが燃えてきます。なにもかも忘れてしまって、快楽に、こころもからだもまかせていく二十五歳の女盛り優等生の木村里香です。

-8-

四つん這いでうしろから、ぶすぶすとされるのを、里香はあまり好きではありません。動物がメスを後ろから交尾していくさまを思うと、里香は、自分が野生の動物になってしまうようで、理性が許してくれないのです。だから、バックスタイルは、男の雄介に征服される感じがして、女の自我が許さないのです。
「ああん、次長、あああん」
「見てみろ、鏡、お前の顔が、映ってるぜ、ほらぁ」
「はぁあっ、ああっ、いやぁああん」
背中に双方の腕をまわして手首を持たれてしまう里香。四つん這いの手がなくなって、肩が、顔が、浮いてしまって、目の前の鏡に自分が映っているのです。
「ほうら、里香、突いてやるぜ、よろこべよぉ」
「はぁああ、ああん、ひぃいい、ひぃいいっ」
ぶすぶす、里香はうしろから、膝から立っている雄介に、持ち上げた尻の割れ目の真ん中へ、勃起のペニスが挿しこまれます。
「ほうら、里香、いい気持だろ、ほうら、どうだぁ」
「ひぃいい、ひぃいい、あああん、ひぃいい」
どすん、どすん、音こそしないけれども、どすんどすんと突つかれる里香です。気持ちいい、からだの奥の疼いているところを掻いてもらう快感、ひいひい、はあはあ、二十五歳の里香です。ねじふせられて快感へ導かれる里香、ただただ男と交わる快感だけに溺れてしまうのです。

うしろから突かれて昇りかけ、時間がどんどん経過していきます。二時間の限定でするセックスは、ゆっくりと楽しむ余裕もないままに終わらせていかないといけません。リードするのは男の雄介、浮気の相手、セックスフレンドは部下、頭が良くて美貌の里香です。バックスタイルから里香を仰向けに寝かせます。いよいよ、クライマックスへと導いて、里香の性を満足させてやるのです。仰向いた全裸の里香。股間はもうぐじゅぐじゅに濡れそぼっています。太腿を拡げさせ、膝を立てさせ、里香の尻に枕を入れて、股間を持ち上げさせるんです。そこへ、雄介の勃起ペニスが挿しこまれるのです。
「あああ、ああっ、ひぃいい、ひぃいいっ」
仰向いて、腕をひろげ、顔をあげ、喜悦の声をあげていく里香。豊かな肢体が波打ちます。ぶすぶす、三十九才男の雄介は、地位も名誉も構ったものなく、女のうえで果てていくんです。
「おおおっ、いいぜ、いいぜ、里香ぁ」
「ああん、ひぃいい、ひぃいい、次長ぉ」
「いけいけ、いくんだ、いくんだ、里香ぁ!」
「あああ、いく、いく、いきますぅ、うううっ!」
雄介の勃起ブツが里香のなかで痙攣です。ぴしゅんぴしゅん、ナマ出しです。なにもつけなくてナマのまま、射精の瞬間、気持ちがいいんです。女の里香もそれは同じです。男雄介にしがみつき、からだを開ききり、そうして快感の頂上へと昇っていくのでした。
(この章 おわり)









HOME

最新更新日 2015.7.13


HOME



文章・小説HOME


えろすかろす表紙


えろすかろす(1)-1-

えろすかろす(2)-1-

えろすかろす(3)-1-