耽美試行

さくら協奏曲(2)

 6〜10 2014.2.17〜2014.2.21

    

(2)

-6-

清田春子の旦那は、西陣の織物問屋の次男坊で森田作次郎という名前、千本の商店街でレコード店を経営しています。音楽家になろうとしたけれど、戦争のどさくさで夢かなわなく、家業を継ぐにも次男だからというので、レコード店を経営しているところです。河原町の行きつけのクラシック音楽を聴かせる喫茶店で、ウエイトレスをしている清田春子を見て、幾度か通ううちに、若くて器量も良い春子を、作次郎がお気に入りになって、転職させ、レコード店で雇うことにしたのです。
「はぁああ、旦那さん、いやぁああん、こんなの、いやですよぉ」
春子を、赤い襦袢を巻かせたままで上半身を裸にし、床柱に括りつけ、眺めいる作次郎。大正の生まれで年齢は数えで36才、軍隊から戻ってきて、作次郎には妻子があるから、21才の春子は妾、アパートを借りて住まわせているけど、経営する森田レコード店の店員です。
「ええ、おっぱいしてるねぇ、春子、そのまま、足、ひろげてごらんよ」
五番町にある旭旅館の一室、春子が作次郎と逢瀬するのは、四畳半のアパートではなく、この旅館です。

赤い襦袢を腰に巻き、立った姿で手を後ろに括られ、床柱に括られた春子に、足をひろげさせる作次郎。春子の膝が露出してきて、太もものうちがわが、ちらりちらりと見えるまで、足をひろげさせるのです。
「ほら、春子、足を、もっとひろげて、そうだ、もっともっと」
立たせた春子のまえに、あぐら座りする作次郎、目の前が春子の赤い襦袢で、白い太ももがひろがると、顔を太ももの間にいれてきて、春子、襦袢のなかへ腕を入れられ、お尻を抱かれて、顔を黒毛にくっつけられてしまうのです。
「ああん、旦那さん、わたい、こそばい、こそばいですぅ」
お尻を抱かれて撫ぜられ、黒いちじれ毛を唇で軽く擦られ、立ったままで足首を、一尺半ほどひろげた春子が、足首はひらいたままで太ももを閉じようとしてしまうのです。
「春子、ええ匂いやねぇ、せっけんでようく洗ってるんやねぇ」
「はぁああん、旦那さん、わたい、お風呂、毎日、行ってますぅ」
作次郎のもちものをヴァギナに入れられるまえに、こうして春子は弄られて、たっぷりと濡れさせられて、その気にさせられ、交合にいたっていくのです。

春子は、旦那の作次郎と、週に一遍か二編、旭旅館の二階イ号で逢瀬の時を過ごします。中学を卒業して集団就職してきて京都で女工になったけれど、半年ほどで辞め、幾つか職を転々として作次郎とは、河原町の喫茶店で働いているときに声をかけられ、それはそれは親切に優しく扱われて、こんなにも優しい男の人がいるんだと思い込んで、言われるままにレコード店の店員見習いになって、そのまえに作次郎とは関係してしまい、忘れられなくなって、なによりも棲む処を世話してもらい、店員としての手当金は一日五百円で、月に一万五千円、家賃とか水光熱費を払わなければ、まあまあのひとり生活が営めるのでした。レコード店がある繁華街にはいくつもの映画館があって、春子は、週に一回、時代物の映画を見るのが好きでした。高校にあがったばかりの男子が、運命という曲のレコードを買いに来た。春子がいるレコード店では、流行歌のレコード、45回転のドーナツ盤、これが売れ行きで、クラシック音楽なんぞは、置いてはいるけれど、売れることは少なかった。征二という高校生に惹かれたのは、たんに弟のように思えただけではなくて、旦那作次郎にはない初々しさ、かってあこがれた高校生へのひいきもあったのです、21才の春子。


-7-

旭旅館の女将とは、もう顔を知られているから春子、冷やかされてしまいます。旅館の入口と出口は別の回路になっていて、利用客が玄関先で顔を合わすこともないのですが、年増の女将からは、春子のことをお嬢ちゃんと呼ばれ、作次郎のことを旦那様と呼ばれていて、二階イ号の出来事を、いろいろと詮索されているようだから、春子は女将と顔を合わせると、恥ずかしい気持ちになります。
「なぁ、お嬢ちゃん、旦那様、よう可愛がってくれはりますでしょ、なぁ」
「はぁあ、わたい、ようわからへんですけどぉ」
「旦那様はええとこの出やし、大学かって出ておいやすのや、そやから、ねぇ」
「いやよ、おかみさん、そんな目でみちゃ、いやよぉ」
「可愛がってもらえて、お嬢ちゃんのええお声が聞こえてきますよって、ねぇ」
襖だけで区切られた四畳半の和室だから、声をしのばせても洩れてしまうのです。春子が可愛がられるというのは、暗に、縛られて弄られて喜悦に泣く春子をさして、女将が冷やかすのです。着物を羽織れば、それはそれは美しくも可愛い姫になってしまう春子、旭旅館二階イ号の部屋で逢瀬する女と男の出来事なのです。

「はぁああ、旦那さん、そこ、ああ、そこ、そこですぅ」
「うううん、春子、もう、たっぷり、濡らしおって、ここだろ?!」
襦袢だけを腰に巻き、床柱に括られた春子は、足をひろげさせられ、太ももをめくられ、真ん中へお指を挿しいれられて、弄られていくから、女のよろこびを感じてしまうのです。恥ずかしいとは思うけど、春子、作次郎がしてくれるテクニックには翻弄されて、とってもいい気持ちになるから、それが忘れられなくて、速達葉書が来るのを、清心荘にて待つのです。
「ほうら、ここかい、ここんところかい」
「はぁあ、ひやぁああん、あああん、旦那、さ、ぁあん」
「ふふふふ、とろとろ、春子、お座りしようか」
立ち姿で弄んでもらっているけれど、立っているのが辛くなってきて、膝が折れてきて、ぐったりしだすから、作次郎が気を利かせ、座布団を敷いたうえに春子の尻を置かせるです。襦袢をめくりあげ、腰から下なにも着けない春子は、四畳半の床柱に手を後ろにして括られたまま、太もも、つけ根、黒い毛、お腹を露出させられてしまうのです。

春子のまえにあぐら座りする作次郎は、スボンを脱いでいて、ランニングシャツにトランクスパンツだけの格好です。あぐらをかいて足をひし形に組むと、パンツのまえの割れ目から、にょっきり、作次郎のむすこが露出されてしまうのです。そのことでいえば、春子は立膝で、太ももをひろげる格好で、風呂場の桶を裏向けて、座布団がかぶせられ、高くされて、春子が座らされるのです。
「はぁああ、旦那さぁん、いやぁああ、ああん」
「ふふん、春子、ここ、ひろげて、きれいないろやねぇ」
「いやぁあ、ああん、そんなとこ見ちゃ、いやぁああ」
あぐら座りで、ぱんつからむすこだけを露出させる作次郎が、春子の股の唇を指に挟んでひろげるのです。ひろげられてしまう春子、高くなった座布団にお尻を置いていて、膝から太ももをぎゅっとひろげてしまいます。作次郎の目の前に、春子の恥ずかしい女部分が、開示され、とろとろと、秘水が垂れだしてくるのです。


-8-

四畳半の畳部屋、二階イ号の部屋半分は、春子と作次郎が交合するための布団が敷かれています。壁際には鏡台が置かれ、床の間には交合している春画浮世絵が掛けられ、床柱に括られる春子は、作次郎から見れば、左に春子、右には春画浮世絵の図がみれるようになっているのです。
「いやぁああん、旦那さん、そんなとこ、吸っちゃ、いやぁああん」
赤い襦袢を巻いただけの春子が、股間を吸ってくる作次郎の頭を抱いて、胸をぐっと持ち上げます。
「いいんだよねぇ、春子、とってもおいしい、春子のおしる」
「はぁあ、おいしいの?ほんと?ほんとですかぁ、ああっ」
じゅるじゅる、啜られる音と音との合間に交わされる春子と作次郎の会話。得体の知れないむずむず感に、21才の春子は咽び泣き、身をよじって呻き悶えてしまうのです。風呂桶を裏向けにして座布団をかぶせた椅子に、お尻をのせて太ももをひろげさせた春子のまえで、あぐら座りから寝そべり姿勢にかえた作次郎が、春子に左の足をあげさせて、その太ももを肩にのせさせ、寝そべったまま春子の股間へ、顔を押しつけてしまいます。

四畳半の畳部屋、お布団が敷かれたその枕元、床柱に結わえられ、逆さ風呂桶にかぶせた座布団を椅子にしてお尻を置いている春子が、みだらに足をひろげきり、股間を露わにしているところです。
「春子、ええ匂いしてるよ、あまい、匂いや、蜜が垂れてくるわいな」
「いやぁああ、旦那さん、そんなこと、ゆわんでくださいな」
「ほんまやで、春子、びちょびちょ、濡れておるわいな」
じゅるじゅる、じゅるじゅる、春子の股間を啜るいやらしい、淫らな音が醸されて、その味とお声に作次郎のこころが、浮き浮きしだします。春子は春子で啜られる快感に気を入れだして、ハアハア、ヒイヒイ、お声を洩らしだしてしまうのです。
「はぁあ、はぁあ、ひやぁああ、旦那さぁあん、わたい、もう、ああん」
作次郎が立ちあがり、春子の目の前、ぱんつを脱いで、毛むくじゃら腰から突き出たむすこを春子に咥えさせるのです。春子は後ろ手で、床柱に括られていて、風呂桶椅子に座らされ、赤い襦袢ははだけて太もも丸出し、乳房を揉まれながら、作次郎の勃起したむすこをお口に頬張るのです。

春子の前に立った作次郎が、腰を前へ突きだして、突起する一物を春子の口へ入れさせ、吸わせるんです。口に頬張らせたまま、髪の毛をつかみ押さえて春子の頭をうしろから、抱いて前へ、後ろへと動かさせます。
「うぐうっ、うぐううっ、うぐううううっ」
春子の唇が作次郎の一物に巻きつき絡まります。一物を、ぎゅぎゅっと口中へ押し込まれ、引き抜かれ、春子の息は乱れだし、咽びだし、悶えだして、涙してくるのです。
「ほうら、春子、どうや、おいしいか」
「ううううっ、ふううう、ううううっ」
春子は、お声にならないお声で、目を塞ぎ、お顔を縦にかろうじて、振り下げるのです。
「ふふ、春子、あとで、鰻、食べさせてやるから」
敷かれた布団のうえへ移されるまで、21才の春子は、作次郎の意のままにされていきます。たっぷりと春子を濡れさせて、頃を見計らって、春子は布団のうえへ、寝させられるのです。


-9-

敷布団は白いシーツで包まれていて、着布団も白い布で包まれています。でも布団の色は紅赤で、柄は梅、そういえば北野の天神さんは梅の名所、春先になるとお花見のおひとで込み合います。上七軒では桜の頃に芸子舞妓の舞台、北野おどりが催されますが、春子には遠いところの出来事のように思えるのです。しっとりと21才の春子のこころに滲みこんでくる、哀しみのような感情は、九州の田舎から就職列車に乗って京都は宇治の工場へ、女工として就職したときには、すでにそのような感情、どうにもならない身上への哀しみ、いいえそれだけではないように思えて、哀しみが昂じて、このような場所へ連れられて、身と心を燃やすのです。
「ほんなら、春子、こっちへおいで」
括られていた手をほどかれ、促されるままに春子は、白いシーツに包まれた敷布団のうえに、仰向いて寝そべるのです。四畳半のお部屋には60Wの電球が、天井からの傘のなかにぶら下がっていて、作次郎は消してくれなくて点けたままにしておかれて、春子、裸になってしまうのです。

春子は裸、巻いていた赤い腰巻は枕元に脱いだまま、白い肌をシーツに寝かせて、作次郎に弄られます。
「はぁああ、旦那さぁん、わたい、あああっ、はぁああ、ああっ」
裸になった作次郎、そのひとつの手が、春子の乳房をまさぐっていきます。もうひとつの手が股間にいれられ、まさぐっていきます。春子は、作次郎の腕にしがみつくような格好で、太ももをひろげて、膝を立て、まさぐられてよいように、股間をひらいてしまうのです。
「春子、もう、ぐっちょり、濡れているんだね、ぐっちょり」
「はぁあ、旦那さぁん、わたいを、ええ気持に、して、ほしい・・・・」
春子は、作次郎の腰の一物を握って皮を剥いてあげ、早よ入れて欲しいとばかりに、せがみます。作次郎、春子の裸を見てやって、股間を覗いて吸ってやり、そうして寝かせた布団のうえで、いよいよむすこを入れてやるのです。

盛りのついたメス猫が呻くお声をだすように、春子、無意識に、よがりの声を洩らします。よがる春子の裸体をみる作次郎、女体を見るそれだけで気が起って、むすこをびんびんにしてしまいます。太ももをひろげ、お膝を立てた春子の間へ、作次郎、腰の一物を春子の股間、縦割れ秘唇のなかへと、押しこみ交わり合せていくのです。
「ひぃいい、ひぃいい、旦那さぁん、はぁああ、はぁああ」
「おおおっ、春子、春子ぉ、ええよ、ええよ、とってもええよ」
ぶすぶす、ぶすぶす、ぬるぬる、べちゃべちゃ、春子の股間からはとろとろと淫ら水が流れだし、白いシーツを濡らします。ぶっすぶっす、びんびんの作次郎、おとこの持ち棹を春子の貝の奥の奥、ぶすんぶすんと突き突きです。もう、もどることができなくて、作次郎、なにもかも忘れてしまって、春子に没頭です。春子は春子で作次郎を背中に腕をまわしきり、抱いてからだを反り返えらせて、喜悦に密着しようとするんです。
「はぁはぁはぁはぁ、はぁああああ〜〜ん」
春子が先に昇りきり、喜悦のお声をあげるから、廊下を伝ってお声が洩れ出てしまいます。耳を澄まして聞き入る女将に、春子の歓び満ちたよがりの声が聞こえてしまいます。春子、21才、女盛りです。


-10-

作次郎のことを旦那さんお呼ぶ春子にとっては、自分が日陰な存在だとのわかっているから、無理難題はいいません。レコード店の店員を勤め、四畳半のアパート賃料は作次郎が支払ってくれる。いわば社員寮のような形式で勤務するなかに、男女の色事が混在しているのです。春子にとっては、生きることが必要であり、生きるためには働かなければならなくて、レコード店の店員はけっこう美しい職業のように思えているんです。喫茶店のウエイトレス、料理旅館の中居、そんな仕事からみれば春子にとっては、レコード店の店員は、音楽という高尚なものに触れられて美しい。征二がベートーベンの運命を収めたレコードを買いに来た時、春子には学校で習ったベートーベン、それに運命という名前がわかったから、うれしかったのです。
「ああっ、旦那さん、わたい、もう、あああっ、いけません」
髪の毛がベートーベンに似た征二の顔が、作次郎との交合の間にもちらちらと、脳裏をかすめるのでした。
「春子、ええおんなや、ええからだや、店、やめたらあかんよ、たのむよ」
作次郎にしてみれば、もっと稼げる、もっと楽していける職業へ、春子が行ってしまいそうな気がして、まるで神頼みするように、春子を拝むのです。

暑い夏のおわり、旭旅館を出たのが夜の八時、そこから近くの鰻を食べさせる料理屋へ、作次郎は春子を連れていくのでした。三十半ばと二十歳過ぎ、仲の良い夫婦にもみえる二人ですが、鰻屋の大将と女将は、それが逢瀬をおえるその日のおわり仕舞、にやにや、ようこそ、おいでやす、春子を迎える大将と女将、鰻のかば焼き、丼にして、春子は、それが美味しくて、高級な食べ物だと知っているから、遠慮します。
「さあ、春子、おたべ、たべて、元気でいるんやで」
「はぁあい、旦那さん、おいしい、おいしいです」
「春子がいてくれるから、店も繁盛なんやから、いつまでもいててや」
「あたい、旦那さんとこうしていたら、ええとこの、お嬢さん、みたいかも」
「そうや、春子は気立てやさしいし、親切やし、文句つけようがないわ」
大きな厚木のテーブルで、鰻丼を食べる春子、作次郎とのことを、大切にします。

「いやぁあん、旦那さぁん、こんなとこで、いやぁああん」
「ええねん、お寺のなかやし、だれも見てへんから」
旭旅館で交合したあとなのに、鰻を食べて別れるときに、お寺の山門のうらがわで、春子、作次郎に抱かれて、ふたたび、股間を弄られだすのです。
「いやぁあん、旦那さぁん」
「ええから、ええから、足、開きいな」
矢絣の着物をきた春子、着物のあわせめ、腰のあたりから手を入れられて、股間を触られるんです。
「はぁあ、ああん、旦那さぁん、だれかに見られてしまうぅ」
「だじょうぶ、ここくらいから、見られへんから」
作次郎の手が、着物のなかへ入れられ、股間の柔らかい肉を弄られて、とろとろ汁を滲み出させる春子です。









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最新更新日 2014.3.15


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