耽美試行

花舞-4-

 16〜20 2016.6.21〜2016.7.6

    

4-1-

美佐子の部屋へいつも康夫がやってくるのは、金曜日の夜と決めてあるわけではないけれど、それになります。というのも翌日が休みで、その翌日も勤務する仕事が休みになるからです。美佐子が、康夫を受け入れるようになったのは、それほどの打算があったわけではありません。成り行き任せとでもいえばいいかのかも知れません。とはいっても、女と男の関係ですから、成り行き任せのあとには、この先どうするのかという想いが起こってきます。
「このまま、このままだよ、当分は」
「そうなの、このまま、このまま、なの」
「別々に住んでいて、こうして、ぼくが来る」
「なんか、源氏の君みたい、よね」
「そうかもしれない、光る源氏かもな」
抱かれて腕の中にいる美佐子の唇に、康夫の唇がかさねられてきます。少しの会話のあとには、からだをまさぐりだされる美佐子です。先に帰ってきた美佐子は、ラフな服に着替えます。康夫がやってくるのは午後も八時を過ぎたころ、泊まっていくこともあるけれど、夜中の間に、康夫は美佐子の部屋から出ていきます。
「はぁあっ、ああっ」
「ふううっ、美佐子、ううっ」
美佐子は、セーターの裾から、インナーのしたから手を入れられ、乳房をまさぐられだします。美佐子の住まいは六畳のワンルームですが、生活スペースは畳換算二枚ほどです。フローリングのうえに厚めのカーペットを敷いたうえです。

地肌の胸をまさぐられだす美佐子。カーペットにあぐら座りの康夫に、左腕で背中から抱かれ、右手で弄られるのです。
「はぁああ、ああっ」
乳房を弄られ、乳首を抓まれてしまうと、美佐子は、すこしずつ正気を失ってしまいます。ふううっと気が抜けていくような気分になって、康夫の指先の感覚を、むさぼります。
「ああっ、康夫ぉ、ああっ」
セーターをめくりあげられ、インナーのブラトップもめくりあげられ、乳房を露出され、そこへ康夫が顔をつけてきます。美佐子は、といえば、右腕は康夫の背中へ、左手は康夫の胸から腹へ、ズボンを穿いたままの腰を弄ります。ズボンのファスナーを降ろし、そのなかへ左手を入れていきます。ブリーフの前の切れ目から、手を入れ、康夫のモノを握ってしまいます。
「ふうう、すうう、ふううう」
「ああっ、ああん、ああっ」
康夫の右手が、美佐子のスカートをめくりあげ、白いショーツに触れてきます。ショーツの股布のへりから手を入れられてしまいます。
「ああっ、はぁああっ」
康夫から、乳首を唇に挟まれ、もぐもぐされ、股間の柔肌を弄られてしまう美佐子。美佐子はまた、康夫のペニスをブリーフのなかで握ってしまうのです。

4-2-

美佐子の部屋は六畳洋間のワンルームにキッチンとバストイレ、独身女子でもはいれている学生マンションです。康夫が訪れてくるようになったのがひと月ほど前、なんどかラブホテルで二人だけの交情をしてきたところでしたが、そこでは落ち着かなくて、最後のラブホテルからの帰りに美佐子の部屋へ、康夫の訪問を許したところでした。何度目になるのか、もう康夫が訪れてくるのに慣れたといえば慣れてしまった美佐子です。いずれ結婚生活を、と想うこともあるから美佐子にはいましていることを許すことができる。
「ああっ、ああん、康夫さん」
乳首をもぐもぐされている美佐子が、目をつむり、左の手ににぎる康夫のペニスを感じます。康夫が、ショーツを穿いたままの股間へ手をいれられ、股布をよけられ指が触れられ、美佐子のなかにジーンと痺れたような感覚が生じてきます。
<ああ、やすお、ああん、いい、いい、いいっ>
左手に力を込め、ぎゅっと握りしめると、康夫からは乳首への刺激とともに指が、股間の唇を弄ってきます。
「ううん、美佐子、ううっ」
康夫が、美佐子の乳房から顔を離し、すでに降ろされたファスナーのズボンを脱いでしまいます。ブリーフに包まれた腰のモノが、ムックらと盛り上がっています。美佐子に、握られていたそれを、露出させてしまいます。ブリーフを足元まで降ろしてしまい足首から外してしまいます。
「ううん、ううっ、ああっ」
無言で美佐子が、裸になった腰のモノを握ってきて、ぎゅっとその手を腰へ下ろしてきて、剥きあげてしまわれた康夫が、呻くのです。
「ふうううっ、ううん、康夫ぉ」
握られた康夫のモノへ、唇をつけてくる美佐子です。

六畳の洋間には、白いシングルのベッドがあり、整理箪笥があり、洗濯ものを干すハンガーがあり、姿見の鏡があります。丸い緑の木製テーブルに背もたれ椅子。畳一枚半ほどの床に座っている康夫。寝そべっている美佐子。胡坐座りから足をひろげて伸ばした康夫の真ん中へ、美佐子が入りこみ、顔を康夫の腰へと密着させているのです。美佐子は海老のような格好で、康夫が手を伸ばせば、胸が触られ、股間が触られます。
「ああっ、美佐子、いい、いい、ううっ」
「ふぅうう、すぅううっ、ふぅうう」
「ううっ、おおっ、ううっ」
康夫が上半身をよじって感覚をむさぼります。握られて、口の中に挿しいれられて、硬直させている茎から亀頭です。美佐子の唇が亀頭を挟み、挟まれたまま口の中へと導かれる康夫。濡れていく自分のモノに、ギンギン感を覚えます。めくりあげたセーターとブラトップを脱がしてしまう康夫。上半身を裸になった美佐子を、間近で眺めます。
「ふぅうう、すぅううっ、ふぅうう、すぅううっ」
「ううん、美佐子ぉ、おおっ」
「ううっ、うううっ」
男にはない乳首の大きさ、盛りあがってふくらむ乳房。そうして康夫が乳房を撫ぜ、乳輪を指先で撫ぜ、乳首を弾いてやって、美佐子の反応を感じるのです。美佐子の反応は、握り具合と唇の、絞めの強さであらわれてきます。
「おお、おお、美佐子ぉ、おおっ」
「ふぅううっ、うううっ」
くぐもった呻きが美佐子から洩れてきます。正常な意識の域からしだいに没頭のなかへ導かれていく美佐子です。ひとしきり唇と手で康夫のモノを刺激させたあと、美佐子がベッドの縁に座るのです。

4-3-

美佐子のベッドは白系のシングルです。六畳の部屋、間取りでいうとベランダに続く掃き出し窓が右奥、窓の左横の壁面にベッドが置かれています。ベッドのすそに整理箪笥が置かれ、洋服ハンガー置かれています。ベッドの対面窓際には洗濯ものを干すハンガー、姿見の鏡、テレビ台、丸い緑の木製テーブルに背もたれ椅子。
「ああん、康夫さぁん、ああん」
上半身裸の美佐子と下半身裸の康夫。ベッドの縁に座る美佐子のまえに康夫が胡座で座ります。スカートをめくりあげてしまう康夫。そうしてまだ穿いたままのショーツを降ろされてしまう美佐子。
「ああっ、ああん」
白いショーツがお尻から抜かれるとき、美佐子が尻をあげ脱げるようにしかけます。尻を抜かれて、太ももの根っこの処まで降ろされ、紐状になったショーツが、膝から足下へと降ろされてしまう美佐子。膝を閉じています。康夫が美佐子の膝に手の平をおきます。美佐子はすでにからだの力を抜いていて、膝をひろげられてしまうとき、吐息のような声を洩らしたのです。
「ああっ、康夫さん、あああっ」
膝をひらかれ、顔を太ももの間に埋められてしまって、美佐子が康夫の頭を抱きます。膝をひろげ、尻をまえへずらし、康夫の唇を受け入れます。康夫は、無言で、美佐子の腰から背中へ両腕をまわして抱き、股間へ、顔を、唇を、つけてしまいます。
「ううっ、ああっ、あああん」
柔らかい膨らみ美佐子の股間へ、康夫の唇が押し当てられ、舌先で舐めあげられます。柔らかい縦割れの唇を舌でひらかれ、唇で撫であげられてしまうのです。

くぐもったくすぐったさに美佐子がのぞけります。康夫の頭を抱いてしまって、膝をおもいっきりひろげてしまったのです。
「ああん、はぁああ、ああん」
男の性器を入れられる前に、こうして唇と舌、それから男の手指でヴァギナを弄られてしまう美佐子。性の衝動は、康夫に触られることで、醸し出されてきます。日常には独り生活の部屋へ、男の康夫が訪問してきて、二人だけの空間となる愛の巣。美佐子には、後ろめたさの感情と、男子を受け入れるふくよかな感情とが交錯しています。
「ああっ、康夫さん、はぁああん」
ベッドの縁に座った美佐子の前に、座りこんでいる康夫から愛撫をうけます。左腕を腰にまわされ、右手で乳房を弄られていく美佐子。股間には顔が埋め込まれ、唇と舌とで陰唇まわりを舐められます。奥の方が疼いてくる美佐子ですが、行為は康夫に任せていて、指図はしません、まだ恥ずかしくってできません。
「ああん、あああん、康夫さん、ああん」
「ふうう、すううう、美佐子、おおっ、ああっ」
康夫が、美佐子をベッドへ押し倒してきます。ベッドの狭いほうで仰向いてしまいます。康夫がシャツを脱ぎ、裸になって美佐子のうえに重なります。康夫は全裸です。美佐子はスカートを腰にまとったままのほぼ全裸です。スカートを脱いでしまう。美佐子は全裸、康夫も全裸、ベッドに横たわる男と女。頭のほうに頭を置く美佐子に康夫は、その逆さまで足を美佐子の頭のほうに。そうして美佐子の腰から足を抱く格好。美佐子の顔に康夫の丸めた腰があたります。美佐子が康夫のペニスを、康夫が美佐子のヴァギナを、唇と舌、それに手指をつかって、おたがいを刺激しあうのです。

4-4-

男が女の、女が男の、ふたつでセットになる性器をまさぐりあい、唇で刺激し合いながら、女は男の、男は女のそれぞれに一体となって溶けこみ始めるのです。
「はぁあ、ああっ、はぁああ」
「ううっ、うううっ、ううっ」
美佐子のワンルーム、白いシングルベッドのうえ、康夫と美佐子が絡みます。寝そべったまま、逆さになって抱きあって、お互いのモノを唇と、舌と手指で刺激です。美佐子は康夫のペニスを握り、陰茎に、舌と唇を這わせあげ、亀頭を口に頬ばります。康夫は美佐子の太ももを立てさせて顔をいれ、股間の柔らかい唇を舐め吸いながら舌先でそれを割って舐めるのです。
「はぁああ、ああん、はぁああっ」
「ああっ、ふううっ、うううっ」
裸体を動かし始めるのは康夫です。逆になっていた身体を、美佐子にあわせて向き合う格好に。抱きあい、唇をつけあい、舌をからませます。美佐子を仰向かせ、太ももをひろげさせ、膝を立てさせます。康夫は、ひろげさせた太もものあいだに座る格好で、上半身を美佐子にかぶせてます。腰のモノを美佐子のヴァギナへ挿し込んでいくのです。男のモノが女の処へ、交わっていくのです。

美佐子には、康夫を受け入れる情感があふれてきます。身体の部分が結合されると、宙に浮いた気持ちです。からだが萌える感覚。むにゅむにゅと立ちあがる妖気に身をまかせていきます。
「はぁあ、ああ、はぁあああっ」
小さな声、呻く声を洩らしながら、美佐子はすべての記憶を消し去って、からだの快感に身をまかせるのです。康夫は、美佐子を抱き、腰のモノを挿入することで、男としての征服感と快感に、身をゆだねていくのです。
「ううん、美佐子ぉ、おおっ、おおっ」
「はぁああ、ああっ、ひぃいい、いいっ」
康夫は、美佐子の双方の膝裏を、応報の肘にのせ、ひろげ、腰のモノを挿し込みます。挿しこんで抜き、挿しこんで抜き、ぶすん、ぶすん、を繰り返します。ぶすんと挿されるたびに、美佐子が小さな声を洩らします。康夫のモノがぐぐっと奥まで挿しこまれ、ぐいぐいと刺激されます。美佐子は美佐子でとろとろの蜜を汲み出させます。
「ああっ、ああっ、ああああっ」
「ううっ、うう、うう、ううっ」
ぶすぶす、ぶすぶす、ねっとりと美佐子の蜜にからまった康夫のペニスがピストン運動を繰り返すのです。

4-5-

シングルのベッドは狭いといえば狭いです。拠れている白シーツに康夫が仰向き、美佐子が康夫の腰をまたいでいます。美佐子のヴァギナには康夫のペニスが挿入されています。美佐子にはこの体位が、いちばん密着度が高いように思えます。康夫にいわれるまま、腰をまたぐ体位で、からだのなかで快楽を、むさぼるようになったのです。
「あああっ、康夫さん、うううっ、ああっ」
「はぁああ、ああつ、いい、いい、いいよぉ美佐子」
「うううん、はぁああっ、ああっ、ああっ」
美佐子が股間を尻ごとまえへぐいぐいと擦りこみます。康夫のペニスがヴァギナのなかでうごめきます。ぐいぐいっ、腹の奥でにぶい衝撃がおこります。にぶく突き上げてくる感覚に、美佐子はちいさく喘ぐ声を洩らします。康夫は腰にまたがらせた美佐子の乳房に手の平をおいています。またいでいる美佐子の上半身が、倒れてこないように支えているのです。手の平に乳房をかぶせ、乳首を指の間に挟んで支えます。美佐子が喘ぎます。身悶えさせます。男の康夫にとっては、普段には見ることがない美佐子の悶え呻くすがたに、いっそうの情欲を感じるのです。
「ああん、はぁああっ、康夫さぁん、ひぃいい、いいっ」
「ううっ、おおっ、ああっ、美佐子ぉ、おおっ」
美佐子が尻を前へ後ろへとスライドさせて、康夫のモノをむさぼります。とろとろと美佐子が溢れさせる甘蜜で、康夫はますますビンビンに勃起させていくのです。

美佐子には、康夫と生活を共にすることを想う気持ちがあります。からだをこうして許すのも、共に生活をしたい前庭があればこそ、なのです。身も心も康夫に捧げて、身と心の満足を得たいのです。ところで康夫には家業があり、道楽とも見える企てで、シュールリアリズム系の書籍や絵画などを扱う店を開きたい計画があります。親が美佐子との婚姻を認めてくれるかどうかは、微妙なところなのです。とはいえ、美佐子を必要としていることは、事実で、愛情も感じるところです。
「ああん、ひやぁああん、ひぃいい、いいっ」
「ほうら、美佐子、ほうら、おおおっ」
腰にまたがらせた美佐子を前に倒させ、ヴァギナにペニスを密着させまま、抱きます。美佐子は康夫の腰をまたいだまま、太ももをひろげ、膝から足先をシーツにつけ、みずからの腰を腹からくねらせ、動かします。康夫がこねるペニスの動きに呼応して、ヴァギナで擦る。擦るんです。いつもは一人の密室で、いまは二人、蜜月、男と女の営みを、粛々と行為しているところです。
「ううっ、ああっ、ああっ」
康夫が射精をもよおしてきています。美佐子がオーガズムの淵にまでやってきています。白いシングルベッドのうえです。
「ああん、はぁああっ」
またいでいた康夫の腰から股間をはずします。美佐子はスキンの袋をやぶり、なかからそれを取りだし、康夫のペニスへかぶせます。頭から茎へおろし、根元までかぶせてしまって、ふたたびまたぐのです。またぐときペニスを握っているのは康夫です。美佐子は康夫の誘導で、亀頭をヴァギナに挿しこんで、そのあとはぶすぶすと挿し込んでしまいます。
「ああん、はぁああっ、ひぃいいいいっ」
あとは、腰にちからをこめ、快楽のもりあがりをコントロールさせながら、美佐子がオーガズムへと昇っていきます。康夫は康夫で、ぐいぐい、擦られることで、腹の奥から呼び覚ます射精、痙攣、爆発です。ぐぐぐぐぐぐっと美佐子に密着させたまま、美佐子に痙攣を伝えます。美佐子はお小水を漏らしながら、その頂点へと導かれるのでした。







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最新更新日 2016.7.23


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